空しいけど

ああ、完全に昼夜逆転している。

ずーっと5時間くらいスマホを見ていた。ただの中毒だ。

毎日同じことの繰り返しである。

今外の景色はちょうど日の出だ。ピンクがかった空が部屋の窓から見える。すぐそばの駅の電車の音。この景色を寝ずに憂鬱な気持ちを抱えたそがれながら見たのはもう何回目だろうか。

小学生の頃は楽しかった、と最近頭の中で幾度も声が鳴る。

記憶に残っているのはプラネタリウム。自分はどちらかと言えば都会の方に住んでいるから、「星空」というものを見たことがなかった。プラネタリウムに始めて入った時に、真っ暗な空間と空のライトアップに引き込まれるあの感覚。そういう体験が中3くらいから全くない。

幼い頃は、無意識に見える景色全てが特別なものに感じた気がする。時間が有限であることなんて分からなかった。先生は絶対だと思っていた。自分の思ったことはだいたい上手くいっていた。

いざ大人に近づいていくと、本当に気持ち悪いものしか見えなくなった。親の欠点、社会の不平等さ、自分の立ち位置、スペック。視野が広くなった分回りもそれ相応の立ち回りを要求してくる。

人生一つ一つ冒険だったのが、なんとなく攻略になっている。昔は回りが見えていなかったがいまでは大体見渡せる。

しかし、見渡せるだけ。すなわち望遠鏡を手にいれただけで、解決する能力は自分には何にもない。とつぜんじぶんにまいおりただ地図と望遠鏡だけ渡されて、よく分からない森に放り込まれたのだ。

地図を手にいれたので、もちろんゴールも見えている。何だか空しい。



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