夜警番

絵描き。形態の変容した人物像をモチーフとした幻想réalismeの系譜に連なる作品を制作。HP「夜警番宿舎」https://yakeiban.com

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絵描き。形態の変容した人物像をモチーフとした幻想réalismeの系譜に連なる作品を制作。HP「夜警番宿舎」https://yakeiban.com

マガジン

  • PORTRAIT STORY

    肖像画の背後にあるお話。

最近の記事

リアリズム絵画について

リアリズム絵画について書いておこうと思う。それにはまずとりあえずはここ数年の写実絵画ブームからの美人画系写実絵画というジャンルについて。そこからリアリズム絵画からのシュルレアリズム絵画についての話を交えながらなんとなく話をまとめておきたい。 ではリアリズム絵画である。 リアリズム絵画といえば風景や物や人物を本物と見紛うほど克明に(写実的に)描かれている絵画ジャンルの一つであると言えよう。 このリアリズム絵画というと美術史的な文脈で言えばかのギュスターヴ・クールベに代表される

    • 「私はいかにして宮廷画家になったか」

      私は宮廷画家である。それもおそらく日本で唯一の。何故なら日本には宮廷というものが存在しないからだ。強いてあげれば日本の皇室がそれにあたるかもしれないが、私がなりたかったのはあくまでかのベラスケスやアルチンボルドのような「宮廷画家」であったので、私は宮廷画家になるべく他の方法を考える他なかったのである。 それはまだ現代でも王室の残っている海外に移住してそこで修練を積みなんとか宮廷画家になるといったそうした話ではない。まるきりそういう話ではないのだ。 では私が如何にして宮廷画家

      • 「投げ出された肖像」

        何か言いたいことは? 何もない 生み棄てられた、まま、ただ、それだけだ、 それだけで、 私はあなたに出会いに行く 「あっ、あなた、私、見覚えがあって?私…似ていて、 あなた?知っているの、当然なのよ 私、あなたとか、そこの人だとか、向こうのあれだとか、 右の斜後ろを振り返らずに手を差し伸すとみつかるものだとか、 そんなものの繋ぎ合わせなんですもの、 あなたと、まるで私、そして・・・、 体重計に乗った一人の狂人が、 彼にしか見えない人物と会話をしているという幻覚を、 人類

        • 「天使」-Angel-

          それは、ある時には人間を天上へと導き、ある時には地獄へと誘った。 それは、慈愛に満ちそして冷酷であった。 その行いを人間の尺度で計ることはできなかった。 人はそれを崇め、そして畏怖した。 それは「天使」といわれた。 その表情からは何も読み取ることはできない。

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        • PORTRAIT STORY
          6本

        記事

          「貸衣装屋」-Costumer-

          彼は様々な人々に様々な衣装を貸し出している。 彼にはどのような人間でも全く別人のように着せ替えることができた。 美男を醜男に、醜女を美女に、 善良な一市民を死刑囚に、乞食を王侯貴族に、 彼にかかれば思いのままにその人生を着替えることができた。 何故彼にそんなことができたのか? それは彼が貸衣装屋の衣装を着ていたから。

          「貸衣装屋」-Costumer-

          「姉」-Old sister-

          彼女には姉としての役割がある。 彼女は毎日同じ時間に起き、或る一定の仕事をこなし、そして眠った。 彼女は働き者で、道徳的であり、家族に対し献身的であった。 彼女は家族の皆から信頼されていた。 彼女には姉としての役割がある。 数年後、彼女が燃え立つような情欲と 極限まで押し進めた悪の認識に至りつくことになることを、 まだ彼女自身も知らない。

          「姉」-Old sister-

          「近侍」-Employee-

          彼には仕えなければならない主人がいた。 彼はその主人を嫌っていた。 彼には両親というものがなかった。 彼は主人に拾われた。 彼は主人に感謝するべきであったかもしれない。 彼は仕えるべきその主人を嫌っていた。

          「近侍」-Employee-

          「著述家」-Writer-

          彼はその生涯を彼の書いた物語の中だけで生きた。 彼は本を書くこと以外何もしなかった。 職に就くことも、結婚して子供を持つこともなかった。 彼は自分の書いた本以外何も持っていなかった。 彼はその生涯を自分で書いた物語の中で生きた。

          「著述家」-Writer-

          「執事」-Steward-

          彼には愛する人がいた。 しかし彼は生涯そのことを口にすることはなかった。 彼の愛したその人もまた、彼に愛されていることを知りながら、 生涯そのことを口にすることはなかった。 二人の間には時折交わされる視線と深い沈黙だけがあった。 彼は最後迄、彼女の「執事」で在り続けた。

          「執事」-Steward-

          シュルレアリスムは何処へいったか?

          「シュルレアリスムは何処へいったか?」それはそのまま「シュルレアリスムは可能か?」という問いでもある。 アンドレ・ブルトンのシュルレアリスム宣言が刊行されておよそ100年になる。なぜ今更シュルレアリスムなのか?と思う人もいるかもしれない。シュルレアリスムは歴史的な文脈の上では20世紀初頭に生じた人間の夢や無意識の世界を描き出す芸術運動の一つとして位置付けられる向きもあるが、かのマルセル・デュシャンもピエール・カバンヌとの対談の中で述べている通り、それは例えば印象派などのよう

          シュルレアリスムは何処へいったか?