時代が追いついてきた話

思い出話なのですが、わたしが氷河期の就活の果てに行きついて、新卒で働いたアニメ業界は3Kの象徴のようにいわれてた業界で、入ったころ、6歳くらい上のまさにバブルを見てきた先輩たちは「恥ずかしくて同窓会に行けない」とか、「生活できない」とか言って、給与の低さで退職していったりしたんです。タクシー運転手になったりなどして。

正社員ではなく契約社員というか、業務委託なので保険証なんかなかったし。
2割源泉を己で確定申告して取り戻さないといけなかったし。

で、その中で社会人生活をはじめたわたしは世間知らずなまま、そんなもんか~、などと思っていたんだけど、2005年に外の世界にでたときに気づいたの、

「そんなほかとかわらなくね? むしろ精神の自由がある分、いいとこだったんじゃね?」

このもやもや、はっと気づいたんですが、「アニメ業界がよかったのではなく、世の中の給与水準がアニメ業界の基準に近づいておるのだ」ということだった。

月給17万で徹夜してまで働かされるっていう。そんで、ボーナスがあっただけ最初の会社がまだましだったっていう。
派遣など交通費も出ないよ。
最初の会社は通勤手当として交通費を申請するけど、どう使おうが文句は言われなかった。みんな自転車で通っていた気がする。でも会社も、給料が高く払えないんだから、交通費を申請して自転車通勤くらいするよね、そりゃ仕方ないよという雰囲気だった。給料が安いという負い目は少なくとも感じているよというポーズがあった。

この間、10日連続こどもの病気で会社を休むっていう社会的に死んでもおかしくないような状況下で、たまたま見つけた記事、

『奨学金頼みで老後破産?…我が家の学費計画』

おそろしくなったわたしは電卓を持ち出して計算してみた。

高校だけで、入学金約50万。
年間通して学費約100万。
わたしがやらせてもらったけど結局無駄になった習い事や塾や服飾費その他を試算に含めたら、どー低く見積もっても私立に行ったら中高6年間で700万。
大学は高めに見積もったら4年間で学費800万。

「おかーさーん!どうやって育てたの、つうか、なんで4人も子供つくったの」って実家に電話したら「しらん。なんも考えてなかったんや」っていわれた。

OH.

まあ世の中景気もよかったろうし、あとうちは自営業だったのでマグロ漁みたいなもんだったんだろう。子供が独立し、両親とも、年金もらえるまではなんとか過ごせた。

右肩上がりの世代に生まれたかったなあ~~~~~~~

と思った事件でした。

おわり。