映画「パターソン」
ニュージャージー州パターソン市のバス運転手を取り巻く日常を切り取った作品。写真の詩は劇中で主人公パターソンが読む詩。
主演はアダム・ドライバーで、アメリカのHBOでヒットしたドラマ「girls」にも主人公レナ・ダナム演じるハナの彼氏アダム役として出演していた。
話の内容は、
朝6:10-7:00の間に目ざめ、9:00-10:00から仕事開始し(バス運転)、夕方には趣味の詩を川辺で書き、家路につく。そして帰宅後は妻の夕飯を食べ、愛犬のマーヴィンを夜の散歩に連れていき、そのついでにお気に入りのバーでビールを1杯飲む。
そんな日常のルーティンを月曜日から日曜日まで過ごす様子が描かれている。
一見すると、同じ出来事の繰り返しでつまらない、変わり映えしないと感じる。
私も鑑賞中は何のメッセージが詰まっているのか?登場人物の心情の変化か?それとも見進めたら何か事件が起きるのか?など色んなことを考えた。
しかし、起きた事件といえば、行きつけのバーで発砲事件未遂(実際はおもちゃの銃だった)と、妻特製のカップケーキが土曜のマーケットで大ヒットしたこと、コツコツ書き溜めていたパターソンの''詩ノート''を愛犬のマーヴィンが噛み砕いてボロボロにしてしまったこと、これくらいだった。
落ち込んだパターソンは1人滝を眺めながらベンチに座っていると、永瀬正敏演じる日本人サラリーマンも隣にやってくる。
彼も詩を愛し、詩人であったため2人は話が盛り上がる。帰り際にパターソンは彼からノートを貰い、失ったノートの代わりにもう一度書き直そうという様子が描かれていた。
正直、本当に何を描いているのか鑑賞後はしばらく分からなかった。
でも伝えたかったのは、毎日、同じことの繰り返しに感じるけど、毎日、似ているだけで違うことだと感じた。
実際に映画でもMonday〜Sundayまで描かれる中で、似ているが、発砲事件が起きたり、夜中のコインランドリーで歌詩を作成するラッパーが登場したり、少しずつ違ったのだ。
それこそ彼はバス運転手で、毎日、時間帯によっても利用する乗客は変わり、彼らの会話内容も変わり、
いつもバスの運転席という定位置で街を眺めるパターソンにとっては日常の全てが変わり映えして見えていたのかもしれない。
私は活動していないと自分って悪い方向に向かってる?と思う事もある。
でも、立ち止まって目の前の状況を観察することで、意外と見落としている世界があるのかもしれないと感じた。
起承転結が激しいわけでなく、穏やかで日常のあたりまえを収めた映画「パターソン」。
もっと身近なことを見直してみたいと感じさせてくれた。