第三の波2.0? ロシアによるウクライナ侵攻の背景を邪推してみる
2022年
先般のロシアによるウクライナ侵攻が世界を騒がせているが、今回の流れに既視感を覚えた。
それもあって、こういうスレッドでsimesaba0141氏と議論をしたのだが…
2018年からグレタ某が地球温暖化危機を世界中に焚き付け回っていたわけだが、それを受けて2020年の頭の時点で国際政治の重要論点として米中分断に加えて気候変動が取り上げられるだろうという予測であった。
実際は新型コロナウイルスのパンデミックによっていろいろと話が狂ってしまっているのはご存じの通り。
人の往来が減り、経済活動も抑えられたことで、大気汚染が改善されたのは皮肉としか言いようがない。
そしてグローバル化の歯車の逆回転が始まった、それも米中分断(decoupling)とは違う形で。
1972年
話を50年前に戻す。
ローマクラブの報告書「成長の限界」が発表され、ストックホルムで国連人間環境会議が開催されたのが1972年。
翌1973年には第4次中東戦争の勃発をきっかけに石油需給がひっ迫して、オイルショックが発生した。
丁度この頃、投資の対象が有形資産から無形資産へとトレンドが変わり始めた時期でもある。
物質的な豊かさの成長からの脱却が一つのテーマとなった時代と言える。
そのような空気の下、1980年に発表されたのが、アルビン・トフラーの「第三の波」だった。
資源国に発言権を与えるな!
この「第三の波」の背景はこうだ。
中東の産油国が石油輸出でドルを得て豊かになっていくということは、国際政治の場での発言力を増すとともに、先進国の立場が脅かされるということでもある。
資源消費を減らす、資源消費をしない方向での経済成長を目指す、というのが「第三の波」の背景だろう。
2001年という転機、2003年という確信
21世紀に入ってから転機が訪れる。一つは2001年の911テロだ。
犯行グループが中東系のテロ組織であるとされたことから、アメリカが中東に攻め込む状況が始まる。
もう一つは2003年のイラク戦争だ。アメリカがイラクのフセイン政権を潰す裏の動機として言われていたのが、フセイン政権がユーロ建てでヨーロッパ向けに輸出しようとしていたことだったともいわれる。
世界の基軸通貨としてのドルを防衛するためにフセイン政権を潰す、というのがアメリカの動機だったのではないか。
これらの状況を踏まえると、産油国は豊かになっても発言権が強くなりにくいだろうという局面になる。
従って、ドル建てで途上国に石油を買わせ、産油国はそのドルをアメリカを中心とする経済圏に再投資する、という帝国循環が維持されることになる。
ドイツという黒幕?資源国の最後の悪足搔き?
ドイツの資源・エネルギー政策が今回の事態の遠因という見方もある。
興味深い見方だが、長期的な脱"資源消費"の流れを考えると、今回のロシアの行動は、資源輸出国の"最後の悪足搔き"に見える。
いずれ資源というものの国際政治上の優位性を得る手段としての効力が弱まっていくという移行期間の中で、今、影響力のテコが使えるうちにやってしまえ、という動機が見え隠れする。
これからの動きを見れば、いずれ明らかになるのだろう。
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