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産業医と保健係の違い|従業員への健康投資額予算の捻出について考察

私たちは、企業版 保健係 の存在意義を再認識し組織内に配置したいと考えております。保健係の説明は以下の記事で割愛しますが、ここでは産業医と保健係との違いや、健康投資予算の捻出について述べたいと思います。

従業員と産業医の関係

インターネットで産業医の業務時間と相場観を調べてみました。
従業員数が1000名以上の事業所は、専属産業医の選任が法律で定められています。平均週に3.5~4日、1日3時間の勤務が基本で報酬1,000万円以上が相場のようです。労働時間が少なく高額です。
50人以上の事業所では、嘱託産業医の選任が必要で、月1回程度の訪問で10万円から30万円が相場観です。更にストレスチェックや健康診断などをすると追加料金が発生することも多いようです。これも高額です。

ここで着目したいのは、従業員が産業医に相談したいと思った時に接する時間がどれくらいあるのか、という点です。規模が大きい事業所でも1日3時間程度です。小さい事業所では長くても訪問月5時間程度で日で換算すると1分を下回る常駐時間です。多少電話による相談ができたりする場合もあるようですが、従業員が相談したい時に産業医に会える確率は低いとしか言わざるを得ない状況です。
上場企業に勤めていた筆者の感覚でも、産業医に診てもらった記憶はありません。自分で病院を探して受信していました。
産業医に求めていることの一つとして、従業員が業務を優先にしながらでも空いた時間に相談できる利便性だと思いますが、産業医の時間に合わせなければならないなら掛かりつけ医に診てもらう方を選ぶと思います。

この状況の中、従業員と産業医の間を埋める役割が産業保健師ですが、法律的な義務がないために選任している事業者は少ないのが現状です。

産業医は投資であってほしい

改めて経営者や人事部視点で考えると、産業医は、従業員と接する時間が少ない中でどれだけ従業員の健康に配慮をし寄与しているのか疑問になります。また産業医の出社時間に合わせている間に従業員の健康状態に変化があるかもしれません。これでは何のための産業医なのか理解に苦しみます。高額な産業医報酬は社員が稼いだお金でお支払いしています。それに見合う結果を求めてみたいものです。

法定外福利厚生と法定産業医は浪費なのか、コストなのか、投資なのか

これからは、専属産業医や嘱託産業医の貢献度を再考してみては如何でしょうか。従業員の考えや価値観が変化している中で従業員が抱える健康問題への興味関心度自社組織や業務内容への理解経営理念や事業方針への共感など、組織の一員としての自覚を算定し再考してみてはどうかと考えています。

組織の一員としての自覚を算定



これからの企業は、メンタルに強い組織をつくらなければならない

企業は、日常の健康は自衛しなければならない時代に入ったかもしれません。健康な身体をできるだけ長く維持できるよう全社で健康意識を向上させ身体もメンタルも強い組織をつくる取り組みを始めなければならないのではないでしょうか。

保健係と産業医や産業保健師との違い

保健係は従業員であり無資格者であることが大きな違いです。よって産業医や産業保健師のように医療行為はできませんが、体に良い食事自分のメンタルとの付き合い方など、医療行為まででなくともできることが他に沢山あります。そして従業員という立場なので業務や人物の理解は容易であり、悩みへの共感をしながら従業員へ寄り添うことができます。これらは、産業医や産業保健師ではできない行為です。このように保健係は、この従業員と産業医との 溝 を埋めることができるのではないかと考えています。

保健係と産業医や産業保健師との違い
保健係 産業保健師 産業医との役割の違い


産業医と産業保健師について

産業医を選任することは「労働安全衛生法(第13条)」「労働安全衛生法施行令(5条)」で定められた企業・法人の義務となっているようです。

一方、産業保健師は大企業であっても選任義務はありませんが、「労働安全衛生法(第3条)」において、企業には「労働者の安全と健康を確保する義務がある」と定められています。

現行の産業医制度の概要等 - 厚生労働省



考察|従業員への健康投資額について

企業が継続的な成長をしていくためには、従業員の活躍なくては語れません。特に価値観の多様な考えが広まったことで、これまでの人事施策では従業員の生産性を維持することが難しくなってきました。

健康経営課題 1
生産性の向上、離職の防止、採用の強化の3点を早急に改善しなければならない
健康経営課題 2
「経営課題 1」の改善策として、従業員エンゲージメントの強化、従業員満足度の強化などのウェルビーイング経営(健康経営)に取り組まなければならない

多くの企業が持つ経営課題

健康経営をしようとした時に予算の増加が必要になりますが、現行予算を組み替えることで予算を捻出することができます。参考になれば幸いです。

予算配分の対象となる要因
外的要因 1

日本経済団体連合会 2019年度福利厚生費調査結果報告では、法定外福利厚生費の非住宅関連費は一人12,486円でした。この法定外福利厚生の非住宅関連の各項目を見直すことで投資できる金額を捻出することができます。
外的要因 2
在宅勤務制度の導入により家賃や光熱費、交通費のコストが低減された。
外的要因 3
マイナビ2019年卒 企業新卒内定状況調査では、入社予定者一人当たりの採用費平均額が 534,000円でした。「経営課題2」を実施する企業が採用コストを抑えられた。
外的要因 4
育児や介護などの理由で退職していた従業員が継続して働けるようになり、働き方の多様化を取り入れることで採用費の減額につながった。
外的要因 5
感染症対策や自然災害などオフィスに出社が困難な状況でも、持続的に仕事ができようになりBCP対策費を減額できた。
外的要因 6
専属産業医や嘱託産業医の貢献度を再考する。従業員の考えや価値観が変化している中で従業員が抱える健康問題への興味関心度、自社組織や業務内容への理解、経営理念や事業方針への共感など、組織の一員としての自覚を算定し再考をすることで適正な報酬にすることができた。

従業員への投資を再考する上で検討したい外的要因

「経営課題」と「外的要因」を踏まえて従業員一人当たりの投資配分を変更できる額として2つの視点から試算をします。

試算1|統計から試算(外的要因1)

日本経済団体連合会 2019年度福利厚生費調査結果報告 法定外福利厚生費から流動性のある金額を試算しています。これによると、住宅手当などの住宅関連費を除く「非住宅関連額」として算出。結果として、1か月一人当たり投資の配分を変更できる額は、約12,000円となりました。

日本経済団体連合会 2019年度福利厚生費調査結果報告
法定外福利厚生費から流動性のある金額を試算

試算2|現行予算からの捻出

最近の例を挙げると、以下の4つの項目で予算の捻出が考えられます。

現行予算からの捻出例

この試算では、一人月額11,000円の額を捻出が考えられます。そして産業医の貢献度を再考し適正にすることで更に積み増しができる可能性もあると考えています。



矢印株式会社は好きなことを仕事にしています。

企業紹介や事業内容、そして経営指標、統計オープンデータ、メンタルヘルス、マーケティングなどの経験も記事にしています。


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