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経営者は冷静で客観的な情報で経営判断をしなければならない

不透明な時代だからこそ、経営者には慎重な判断が求められる。そして会社経営においてこそ、「感情」ではなく「勘定」で判断を下す。そして、経営者は感情論で経営を語るのではなく、明確な数字を社員や取引先に示すことと考えます。

数字は嘘をつきません。その基準となる数字をどこから持ってくるのかが、経営者の腕の見せ所と言っても過言ではありません。逆境の時こそ、腰を据えて本業をしっかりと行い、事業に集中する。焦っていろいろ手を出すことが決して得策ではないこともあるのです。


経営分析に必要な各種指標を記事にしております。併せてお読みください。


常に冷静で客観的な情報で経営判断をする

経営者にとって注意しなければならないのは、自分にとって都合のいい情報を選ばないようにすることです。人は、都合の悪い情報は無視したり過小評価したりします。また都合のいい情報のみを選択することを「正常性バイアス」といいますが、経営者はこれに陥りやすい環境で経営判断を迫られています。では冷静な判断を下すにはどうしたらいいか。経営の基準となる数値や指標を決め、それに基づいて判断することです。

常に冷静で客観的な情報で経営判断をする



「売上と利益」以外の数字に対する興味の低さ

事業に成功する経営者は数字に対する興味や意識が高い傾向があります。
これは、経理に詳しいとか、簿記を理解しているといったことではなく、自社の数字を常に意識し、どうなっているか、興味関心を持っているかということです。
経営者の中には、数字の話しになると税理士を頼りにすることがありますが、年中自社の経営指標の全てをウォッチしている訳でもなく、そもそも自社の経営に興味関心があるかどうか怪しい中で、タイムリーに指摘してくれる士業は稀と聞きます。この点は報酬次第なのかもしれませんが、経営者なら数字への興味関心は常に持っていてほしいものです。

自社の製品がどれくらいの価格でどれだけの数が売れて、経費がどれだけ掛かっているかということは、経営そのものと言っても過言ではありません。「数字をまとめられていないから、分からない」などと言い訳するようなことになるくらいなら、いつでもどこでも経営情報と経営指標がリアルタイムに確認できる仕組みの導入をお勧めします。
自社の数字を把握するということは、会社の経営成績を確認するためのものですが、それ以上に、その数字を使って将来の展望を探るためのものでなければなりません。数字に興味関心を持ち、それを活用して自社の立ち位置を確認する。これは経営者でなければできないことです。

経営情報と経営指標を見ようと思った時に見れる環境|ダッシュボード表示例



見通せない時代に数字が示す安心感

漠然とした不安と焦り
何故そんなに不安に駆られるのか。それは先行きが見通せないからではないでしょうか。ではどうしたら先行きを見通すことができるのか。1つの方法は「数字を示すこと」だと思います。

感情論で経営を語るのではなく、明確な数字を社員や取引先に示すことです。例えば、良く目にする「〇〇キャンペーンで毎月売上を8%上げ半期には昨対比30%増まで伸ばします。協力をお願いする」という経営者の決意表明。一見具体的なメッセージに聞こえますが、これを聞いた従業員は何をするのか具体的に理解できていません。大切なのは、所属の組織や役割で、従業員ごとに具体的な数字を提示することなのです。それを示せれば、その数字に向かって動き出すことができますし、未達ならその原因を追究し改善して前進することができます。立ち止まることがなくなるのです

先頭に立ってかじ取りをして「俺について来い」というような強いリーダーを演じるためにも、分かりやすい、明確な数字を掲げることが必要なのではないかと思います。

所属の組織や役割で、従業員ごとに具体的な数字を提示すると
具体的に何をするべきなのか理解でき安心感につながる

見通しが立つということはどういうことなのか

半年、一年、二年先の売上が見込めるということです。
経営的に言うと、仕入れや資金計画などの予測が立てやすい経営環境があるということです。
例えば、原油や株価、物価、消費のトレンドを見て上昇傾向なら仕入れコストが上がり利益を圧迫する時期がくると予想し、仕入れ品の長期予約をしてしまう、または仕入先を複数にして競合させる、金利が安いうちに融資を受けておくなど、事前に対策を打つことで経営リスクを低減させることができます。このことが見通しがたつ経営ということになります。
これは結果的に経営者の「心(精神状態)」を健康に保つことに寄与します。周りにいる従業員は敏感です。経営者の不安や焦りを態度や発言で感じています。会社全体が不安や焦りに包まれないようにして下さい。

物価や景気のトレンドを把握し見通しを立て備えること

危機がおきてからでは道が探せない

どのような危機が来ても生き残るというのも経営者の使命だと思います。攻めか守りか、もちろん理想は両方できることでしょうが、どちらを優先するかは、結局は経営者次第です。どちらが正解で、どちらが不正解だとも言えないでしょう。しかし、状況を見据えて経営情報や経営指標で客観的に分析し、行くべき道の選択ができる判断環境を整えておくのは生き残れる理由になります。

目標の数字に拘るけど、こだわらない

「100点は目指さない。完璧な70点を目指す」をお勧めしています。
当然ながら目標と定めた指標値(KPI|KGI)を達成することは当たり前だと言えば当たり前です。しかしその指標が示す数字だけに拘らないでほしいとも思います。なぜなら、経営とは、経営環境全体を広く俯瞰して前へ進むことだと思うからです。一つの指標値にこだわるよりも、全体の指標値を俯瞰してみることで、「この数字は未達だけど、ここの数字は大幅に向上しているから良しとしよう」といわば前向きな妥協(先送り)があるぐらいの余裕がある方がポジティブ思考で経営ができると思うのです。100点ではないにしても常時70点を維持できる実力がついていたらどうでしょう。毎回乱高下する実力よりは十分価値のある70点だと思います。

頑張り続けた100点よりも常時70点の実力を付けた組織の方が強い



半年先に何をやるか決めていますか

「コロナ禍だから仕方ない」が通用しなくなりつつある昨今、すでに動き出しているライバルたちは一体いつ行動を決定したのでしょうか。決して緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除されてからではないはずです。

物事が好転してから動き出すのでは遅過ぎると思います。それを予測して先回りして動かなければ当然、後塵(こうじん)を拝することになります。取引先や社員のためにも先回りしなければならないのです。そのためには、せめて半年先、一年先を見込んで行動しなければならないのではないでしょうか。

半年先や一年先の経営状態を見通すには、内部の経営情報だけでは不十分です。特に景気や物価の関係を広く捉えておくことが鍵を握ることになります。

半年先、一年先の景気や物価の先行き見通しの鍵を握る統計オープンデータ

景気と物価 の政府系先行指標や業界独自の指標(これらを統計オープンデータ)を活用し、経営予測をすることです。仕入原価が上がるのか下がるのか、取引先顧客の市場は伸びているのか下がるのか、顧客動向や分布に異変はあるのかないのか、など自社特有の事情も考慮した基本データセットをつくることで半年先や一年先の景気や物価の先行きの見通しが立てられるようになります。そしてそれに応じた交渉や対策も先回りして打つことができるのです。時には勘と経験も大切ですが、日ごろから客観的な経営判断材料を持つことは非常に大切なのです。

判断材料を特定し日常的に使う基本データセットを準備しておくことが大切

先行指標である景気動向指数(内閣府)や日銀短観(日本銀行)、消費者物価指数(総務省)、景気ウォッチャー調査(内閣府)などの政府系統計データを自社の経営情報に取り入れ景気や物価の先行きの見通しを立てます。勘と経験だけに頼らない、統計オープンデータという3つ目の判断材料を持つことで、更に精度の高い客観的な未来予測を立てることができるようになります。

この様な環境を手に入れれば、意味もなくライバルたちの動きが気になることもなく根拠が明確にならない不安に包まれることもなく、自社基準で立ち止まったり、動き出したりすることもでき、余計な負担から解放されることと思います。

経営上重視する指標に目標値を設定すること

闇雲に統計オープンデータを眺めていても経営的効果はありません。ではどうするのか。100近い経営情報と経営指標から自社で重視する情報と指標を選ぶことから始まります。選んだら、その経営情報や経営指標へ目標とする数値を決めて下さい。これをKPIやKGIと呼んだりします。
次に選んだ経営情報や経営指標を、日時、月次、四半期、半期、通期の時間軸で、且つ、前日や前週前月、前年の数字と比較したり、決めたKPIと比較して達成度を計ることができるようになります。このような環境があると、今この瞬間の成長の度合いがリアルに感じ取れるようになり、時系列データで観察することで問題が起こる初動にも気づきやすくなります。

成長がリアルに感じ時系列データを観察することで初動を検知できます

KPI|Key Performance Indicators
組織の達成目標(売上高など)に対して、目標達成度合いを評価する評価指標です。目標達成に向けたプロセスにおける達成度を把握し評価するための「中間目標」として使われます。
KGI|Key Goal Indicator
ビジネスの最終目標を定量的に評価するための指標です。「重要目標達成指標」とも呼ばれます。売上高や成約数、利益率などがこれに当てはまります。

KPIとKGIの違い


矢印株式会社は好きなことを仕事にしています。

企業紹介や事業内容、そして経営指標、統計オープンデータ、メンタルヘルス、マーケティングなどの経験も記事にしています。


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