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憧れの合宿~超人の集いにまぎれて~【前編】
ついに、夢の叶うときがやってきた。
”おっくん”こと
プロトレイルランナー奥宮俊祐さんの泊りがけ合宿に参加したい!
けれども日程が合わなかったり、
「30㎞以上のレース完走者」という条件があったりして
なかなか参加できなかった。
それがついに! 合う日程で「初級者OK!」のイベントを見つけたのだ。
それも、夫の実家の近くである長野県木島平で!
子どもを預けて1泊のトレラン合宿なんて、まさに夢のよう。
百人一首の手練れのごとき勢いで参加申し込みをタターンとしたのであった。
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そしていよいよ、待ちに待った合宿の前日。
むっちゃくちゃ緊張してきた。
緊張のあまり、眠れなかった。
ようやくうつらうつらしても、すぐに「ハッ」と起きてしまう。
その間見た夢といえば、
“自分だけが遅くて置いていかれる”
という恐ろしいもの……
当日、ドキドキしながら集合場所へ着いてみると
なんか、遅刻だった。
説明とか、終わっていた。
も、もうすでに遅れはじめている~。
増す、ドキドキ。
でも大丈夫、「初級者OK!」のイベントなのだから。
参加者のみなさんを見回してみると、
ふくらはぎバッキバキの猛者やん
という人もいれば、
私よりも年上で穏やかそうな雰囲気の女性もいる。
きっと自分と同じようなレベルの人もいるだろう!
参加者のひとりが、私に向かって
「たくさん走ってらっしゃるでしょう。
わたし、見ればわかるんですよ~」なんて言う。
「えー!そんなことないですよぅ~!」という言い方は大丈夫だったろうか。
謙遜に聞こえたりしていなかっただろうか。
まじでそんなことないと伝わっただろうか。
今になってドキドキするのである。
だって。
ホントに私だけが遅くて、ぜんぜんついていけなかったんですよね。
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清流と高原、ばんざい
ちょっとみなさん、長い上り坂の負荷がいかばかりか、知ってます?
すんごいの。
そこを軽く走りながら登ってみてくださいよ、
そんなに長いこと走っていられませんよ。
私なんかすぐ止まっちゃって、ゼーゼーハーハー。
でも、このイベントの参加者のみなさんは走っていられるからね。
本当に“トレランは初めて”という初級者はいらっしゃったけど、
フルマラソンとか出ちゃうような人たちなんですもの。
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さすがに急なところはみんな歩くのだけど、そのスピードも速い。
何がはやいって、ピッチ=足運びが速いんですよ。
まるで平地を早歩きしているみたい。
みんな、ここが急な上りって気づいてないのかな……?
ランニング協会のサポートスタッフや、ベテランの優しい参加者の方々が、
のっろい私に合わせてゆっくりのぼってくれる。
「ずびばせん…ゼーゼー、おそくてハアハア」と謝ると、
「ゆっくりでいいんですよ、楽しむことが一番!」と励ましてくれる。
やさしい……あったか~い
合宿初日は13㎞で獲得標高1000mのワイルドな上り
+ブナの原生林が美しいカヤノ平を2㎞の行程。
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登り始めは30度超の暑さだったけれど、
清流に沿って登っていると冷蔵庫を開けたときのような冷気に包まれる。
川に手足を浸すと、雪解け水なのか?というくらい冷たくて
3秒で痛くなってくるほど!
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今年は10年に1度の酷暑と言われていたけれど、
涼しい風の中気持ちよく走ることができた。
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サポートカーが待っていてくれて、みんなを「ナイスラ~ン!」と褒めたたえながら飲み物や食べ物を提供してくれる。
うれしい。
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エイド(サポートカー)にたどり着いたこの瞬間、忘れない…
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ガシガシ登って走れる人は、食いっぷりもいいよな~と思う。
走るためのエネルギーをぐんぐん飲み込んでいける感じ。
アスリートって運動能力だけじゃなくて、胃腸も強くないといけないし、
前の晩に緊張で眠れないなんてお豆腐メンタルでもやっていけないわけだから、
すんごいトータルで優れてる人だよなーっとつくづく思う。
(おれぁどこを取ってもダメだ…)
さらにおっくんのように大会やイベントをオーガナイズするとなると、
人とのコミュニケーション能力もとっても必要。
大会のたび何百人とボランティアが集まってくるのは
なんといってもおっくんの人徳のなせる業だと思う。
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すげえや……
【後編】に続く。
※写真はおっくんとランニング協会からいただいたものです。
よい写真をありがとうございます~!
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