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#5 真夏の夜のクリスマスキャロル【サモアの想いで】
🌴以下の作品は2007年〜2010年の間に、米国に暮らしながらサモア暮らしのリフレクションを記したフォトエッセイ(全20篇)の転載です。サモアには97年に住み始めたのでこれを記したときはその10年後。そして、今さらに記したときから十数年が過ぎました。
🌺こうした経験からできあがっているのが今のわたしですから、いつ振り返ってもすべての時間が愛おしいです。
🌈こんな人生を与えてくれた夫に心より感謝💗
「マヌイア レ キリシマシ マヌイア レ キリシマシ マヌイア レ キリシマシ マレ タウサガ フォウ ♪♪」
クリスマスソングが聞こえてくる今ごろになると、サモアでクリスマスイブの夜に聴いたサモア語のコーラスを思いだす。アエイオウと5つの母音から成るサモア語は、あいうえおの日本語の響きと似ていて私の耳には馴染みやすく、そのコーラスは心地よく響いた。
赤道近くに位置するサモアは常夏の国。日本で暮らしてきた者にとって、クリスマスの頃に暑いというのには、当初かなり違和感を感じた。しかし、そこには暑いからこそのクリスマスがあった。サモアの国民のほとんどがキリスト教徒というお国がら、クリスマス行事は避けては通れない。我が家はクリスチャンではないものの、何でも見てみよう、やってみようの精神で、誘われればいろんな教会行事に顔を出した。イブには毎年、大家さん一家が “クリスマスキャロルの配達ツアー”に誘ってくれた。
“クリスマスキャロルの配達ツアー”と私が呼ぶのは、イブの夜に大家さんの大家族が所属する教会の一行が集まり、バスや車で乗りつけて、親戚縁者の家をクリスマスキャロルを歌いながら夜通し巡業するというもの。サモアの家には壁がない。開けっぴろげで柱と屋根しかない家の構造は、外で歌うコーラスも家の中にいながらにして聴けるので好都合だ。
大して練習するわけでも楽譜が読めるわけでもなく、コーラスのパートを決めるわけでもないのに、1人が歌いだすとそこに混じり重なっていく声が自然に美しいハーモニーを奏でて見事なアカペラとなる。歌声はどんより湿った生温かい空気に溶けて、夏の夜空に響きわたった。
今、我が家は北米の中でも激寒のミシガン州に暮らす。目の前は銀世界。雪景色の中、クリスマスイルミネーションがキラキラと飛び込んでくる。刺すような空気を感じながらも、目を瞑れば、あの美しいコーラスが聞こえてくるような気がする。
🌴今の声
「マヌイア レ キリシマシ マヌイア……」の曲の部分ですけど、これは「We wish you a merry Christmas, We wish you a merry Christmas..」ってあれです。今もこんな風習が続いているのかはわかりませんが、スマホ時代前だからこそより伝統も残っていてラッキーでした。
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![yahoi /ライフエディター・エッセイスト](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/39931462/profile_8f2f6195d9a4aee3d703664a4a23e225.jpg?width=600&crop=1:1,smart)