情報を削ることを武器にする
YouTubeチャンネルの「有隣堂しか知らない世界」で、地図を制作している会社の人をクローズアップした動画があった。
かつては普通に手に取ることの多かった「地図」も、いまではスマホで事足りるということもあって、発行部数は激減している、とのことだ。それでも、完全になくなってはいない。僕も、本屋に置かれている地図は逆に新鮮なので、ちょっと手にとったりすることもある。
「地図の未来」って、どういうものだろう?
いわゆる、普通の地図に該当するものならば、Googleマップで事足りるだろう。しかし、建物や通りの名前がより仔細に記載されている「yahoo地図」のほうが僕は好みで、ときどき用事もないのにyahooの地図を眺めたりすることがある。
ちょっと面白いのが、yahooの地図は、鉄道の路線だけを目立つように表示する機能があって、それを使うと普段自分が乗っている路線が実際はどういう地図上のルートを通っているのかがわかりやすいし、たとえば北海道の鉄道の通っている地域はどういうところなのか、みたいなのを確認することもできる。
そうやって、「特定の目的に合わせて、表示する内容を変える」ことができると、ちょっと未来っぽい感じがする。
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「路線」で思ったのだが、駅などにある「路線図」も、最近はアプリで経路を確認するのが主流になったからあまり見なくなったけれど、地図の一種のような気がする。
あれは、電車の乗り換えなどを目的としたものだから、そもそも地形が現実のものとかけ離れている。あれも、使用用途が明確になっている地図だと言えないだろうか。
テクノロジーの進歩によって、無くなってしまったモノは多い。例えば、写真というものが出てきたとき、写実的にものを描き切ることを売りにしていた画家は非常に危機感を覚えただろう。
確かに、そういう需要は激減したかもしれないけれど、代わりにイラストを描く人は増えたのではないかと思う。イラストというのは、現実の人間をそのまま描くのではなく、やはりこれも用途に合わせてデフォルメしたものなので、これも「人の手でつくる」必要があるものだ。
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地図のデフォルメというと、よく観光地などに置いてある、イラストつきの観光マップをよく見かける。ああいうのは結構好きなのだが、あれもGoogleマップでは間違いなく作れない。
写実的な絵、写真、動画と進化してきてはいるものの、よりデータ量を多く、より仔細に記録することがすべてではない。むしろ、情報量を削ぎ落として、いかにデフォルメできるか、そういうところが求められる時代なのかもしれない。
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