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どれだけ豊かになっても、人々は「遊ぶこと」をやめない?
以前も書いたことがあるが、「大乱闘スマッシュブラザーズ」や「星のカービィ」をディレクションしたゲームディレクター、桜井政博が運営するYouTubeチャンネル「桜井政博のゲーム作るには」を見ている。
このYouTubeチャンネルが「完結」したので、全ての動画をまとめて見返そうと思い、毎日少しずつ見ている(通勤時間やお風呂に入っている時などに)。それなりにじっくりと大切に見ているのだが、すでに半分以上は見終わってしまった。
しかし、今まで週に1・2度の更新を追いかけていた時とは異なり、まとめて見ることでその内容の密度の濃さに改めて驚かされている。
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特にすごいと思うのが、このチャンネルにはほとんど引用がないという点だ。つまり、桜井政博がこれまでのゲーム制作で培ってきた経験ベースの観点でだけ語られている。例外的に引用をしている回もあるが、それはたった一回だけという徹底ぶりである。
ファミコンの時代からゲームディレクションをしているわけだが、まさにゼロから考え、創り上げてきたのだろう。動画とはいえ話を聞いているだけで、ゲームを作ることがいかに大変で、頭を使う作業なのかがよくわかる。
僕も昔、RPGツクールというゲームソフトでRPGを作ったことがあるが、かなり大変だった。製作には1年以上かかった記憶がある。しかし、それはツクールというフォーマットを使っただけのことなので、実際に製品として開発して売り出すとなると、ゲームシステムに斬新さが必要だし、相当な難しさがあるだろう。
ゲームというのは娯楽だから、一見簡単にできそうに思えるが、突き詰めて考えるととてつもなく難しい。お客さんが今存在しているゲームより面白いと感じてくれるからこそ買ってくれるわけで、これまでにないゲームなんて本当に作れるのかという疑問も湧いてくる。大抵の「面白さ」はすでにやり尽くされているようにも感じるのだ。
桜井政博はYouTubeで再三にわたって「ゲームの面白さの本質」について語っている。彼によれば、ゲームの面白さの多くは「リスクとリターン」にあるという。つまり、大きなリスクを背負って行動すれば大きなリターンが得られるし、小さいリスクなら小さなリターンしか得られない、というトレードオフ。
そうしたせめぎ合いがゲームを面白くしているのだ。この要素は将棋などにも見られるため、ゲームの面白さの本質と呼んで差し支えないのかもしれない。
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今のゲーム業界は何百人もの人々が何年もかけて制作するタイトルもあり、失敗すればそれだけで会社が倒産しかねない。何億円どころか何十億円もかかる作品も珍しくはなく、もはや1つの会社を立ち上げるほどの規模のプロジェクトである。
ファミコンの時代であれば数人で作ることが当たり前だったが、今ではそんな風にはいかない。それでも、数人で作るインディーゲームもあるので、アイディア次第でどうにでもなる部分もある。
どれだけ世の中が豊かになっても、人間が「遊ぶことをやめる」ことはないだろう。この業界が消滅することはないのは確かだ。しかし、遊びは「面白い」ことが前提なので、人々の意識とともに年々アップデートされていく。それが、供給側としては苦しいところだろう。
数十年後、人々がどのような遊びをしているのかは想像もつかないが、どうなのだろう。意外と今のゲームと変わらないものだったりするのだろうか。
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