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落とし穴を見つける
僕は基本的に、会社として前例のない新規事業をやる、というのをこれまでの社会人生の大半の業務として過ごしてきた。
知らないうちにそういうキャリアになってしまっているので、例えば次にどこかの会社に転職したとしても、おそらくそういうスキルを買われることだろう。なので、必然的に今後もそういう仕事がメインになってくるのでは、と思う。
既にある程度定型化された仕事を引き継ぐのとは違って、これまでその会社が挑戦していなかった領域にチャレンジするので、わりとそれに特化したスキルが必要になる。
構想思い描く力があるとか、斬新なアイディアがひねり出せるとか、実はそんな事は全くたいした能力ではない。というか、頼まれてもないのに事業構想をひねり出したり、自分の考えたアイディアを話したりする人はたくさんいるので、その程度の能力では企業から必要とされない。
一番仕事を進める上で大切なスキルとしては、「落とし穴を見つける」ということかもしれない。
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誰も歩いたことのない道を歩くというのは、とにかく落とし穴を見つけることにつきる。あるいは崖を早期に発見するでもいいし、猛獣に襲われるの防ぐでも何でも良いのだけれど、とにかく未知の状況に対してアプローチする能力が問われる。
こういう事態が考えられる、というのを事前に察知して対策を立てる。もちろんそこに時間を使いすぎるとスピード感が失われるのだけれど、何も考えずに突っ込んでいくとただ死ぬだけなので、いろんなことを考えてそれを防ぐようにする。
大事なのは、まだ起きてないことを察知する力、といえるだろうか。それは、目に見えていることを中心に物事を判断するのではなくて、本来であればそこにあるはずのものを事前に察知するというような、やや複雑な能力が必要になる。
ある程度定型化されて先人が踏み固めた道がある場合は、どういうところにどういう罠が潜んでいるかというのが知識として蓄積しているのだけれど、誰も通ったことない道を初めて通る場合は、おそらくこういうことがあるだろう、というのを事前に考えて進む必要がある。この力があるかどうかが結構大きいと思う。
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でもこういう力が鍛えられると、仕事以外でも役に立つことは多い。たとえば、なんらかのプレゼンを受けたとしても、そこに「書いてあること」の違和感を見つけるだけでなく、「本来であればこういうものが必要だけど、なぜ存在しないのか?」ということがわかってくる。
そうすると、シンプルにだまされにくくなる。大人の世界と言うのは、誰も積極的には嘘をつかないが、重要な事は黙っていたりする。重要なことを話さないのはルール的にはアリだと考えている人が多いからだ。
だから相手にとって都合の悪いことで、こういうこともあり得るのではないか? というの事前察知する力が結構役に立つことは多いと思う。
言われていないこと、書かれていないこと、起きていないことをいかに事前に察知するか。そういうのを検証するから時間はかかるけれど、どんなことにでも応用のきく能力だといえるかもしれない。
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