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頭を使うことは好きですか?

あなたは、「頭を使うこと」は好きですか?

この問いを投げかけられて、迷わず「イエス」と答える人はどれくらいいるだろうか。そう言われると尻込みして、思わず「ノー」と答える人はいるかも。

しかし、こう書き換えたらどうだろう。「あなたはオフィスワーカー(頭脳労働者)になりたいですか」という問いである。この質問であれば、「イエス」と答える割合は高くなるのではないだろうか。

多くの人は、肉体労働よりも、都心の空調のきいたオフィスでパソコンをカチャカチャするような仕事をしたいと思っている。そのため、東京でのホワイトカラーの職業は人気がある。

しかし、なぜそうなのかと考えてみると、単純に肉体労働と比較して頭を使う仕事であれば「机に座っているから楽そう」というイメージがあるからではないか、と思う。あと、肉体労働だと出世できなそうなイメージがある、とか。

いずれにしても、「頭脳をフルに使いたいから頭脳労働者になりたい!」という人はそこまでいないのではないか、と思うのである。

実際のところ、頭をしっかり使う行為は結構しんどいものである。脳は質量でいうと体重の2%ほどしかないが、エネルギーは20%も使っているという情報もある。

僕もどちらかと言えば頭を使うことは嫌いではないのだが、それでも使える時間には限度がある。平日なら退社後に脳をフル回転させる趣味などは難しいし、休日も脳を使うのがおっくうで、なんとなくYouTubeをぼーっと見ているうちに結構まとまった時間が過ぎてしまう、といったことがある。別にそういうことを積極的にやりたいわけではないのだけれど、なんとなくそういう浪費に引っ張られてしまうのだ。

物事を深く考えることと、物事をただ記憶したり、反射神経で記憶から情報を引っ張り出すという行為はまた違うものである。今の学校教育は、どちらかと言えば記憶をいかに短時間で引っ張り出すかというところに注力しているように見えるが、それは本当の意味で頭を使っているとは言えない気がする。

仕事もまた、仕事内容によるだろうけれど、反射神経のように記憶を引っ張り出すような仕事が多い。ホワイトカラーの仕事だとたいていがそうだろう。その場では答えられないから、誰かに問い合わせたり。

深く思考することだけが求められる仕事というのは、それほど多くはないのではないかと思う。

あるとしたら、研究職や開発などの分野だろうか。そういった仕事はもちろん肉体労働よりも楽ということは全くなく、むしろ大変な仕事だと思う。もっとも、それも向き不向きがある。向いている人は多分、四六時中そういったことができるが、向いていない人は少しでも考えると頭が痛くなったり、すぐに疲れてしまったりするのだろう。

文章を書くという作業は、何かの解決策を考えたり、頭を振り絞ったりする必要はない。だから、実はそれほど頭を使ってはいないとは思うのだけれど、ぼーっとYouTubeを見ているよりは使っているだろう。

どちらかというと、凝り固まりがちな日常の思考から離れて、違う視点から捉え直す、といった感じだろうか。こういう時間をつくることで、精神の均衡を保っている部分はあるかも。だから、文章を書くことが好きだからといった「頭を使うことが好き」とは一概に言えないかもしれない。


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やひろ
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