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2019上半期 読書記録

こんにちは。schappeです。
今年も半年が過ぎてしばらく経ちました。7月後半に差し掛かろうというのに、なかなか梅雨が明けなくて庭にワカメみたいな謎の植物が生えてきました。怖。

上半期とか言っていますが、去年の11月くらいから買った本の記録です。今までにないスピード感で読んだから、後々思い出せるようにほぼ自分のためのメモです。買った順。まだ読んでないのもあります。


生物から見た世界

ユクスキュル著。初版の刊行は1973年。
ウィッシュリストに入れていたら友人が買ってくれた。

環世界」という概念が(たぶん)初めて提唱された本。
環世界っていうのは「生き物によって見てる世界が違うよ」みたいなことで、それがいろんな実験をもとに書かれている。
「見てる」と書いたけど、たとえば触感とか、聴覚とか時間感覚とかもういろんな感覚が違う。
私たちは、私たちがいろんな知覚をもって意味付けした環世界の中で生きていて、同じものを見てても生き物によってそれぞれ意味が違う。

学術書っぽいけど、筆者の主張とか主観的な文がほぼ無く、実験の純粋な考察や説明の文で読みやすかった。
主張や主観が混じるとどんなことの良し悪しを言わんとしてるのか、どんな課題感を持ってるのかとか筆者の立ち位置とか立場とか想像しないといけなくて、理解がふわふわしがち。


制作へ

上妻世海 著。去年行った蓮沼執太フルフィルのパンフレットのイントロダクションを彼が書いていて、それがとても良かったので気になって買った本。
哲学的な論考集。「制作すること」とはいったいどういう行為なのか?というのが認知科学や社会学、哲学、生物学、いろんな方面の言葉を引用しながら考察していて、難しかったけど面白かった。


共通感覚論─知の組み替えのために

中村雄二郎著。難しかったから読み途中で止まってます。

まさに「生物から見た世界」と「制作へ」で、想像することや経験すること、学ぶことは「知を組み替えること」「環世界を変えること」なんだな〜と思いこの辺を読もうとしていた。


ビデオゲームの美学

松永伸司 著。

以前noteにも書いた、文化庁メディア芸術祭受賞作品「人喰いの大鷲トリコ」というゲームの話がすごく印象的で、
ゲームの世界や体験、その設計の奥深さが気になって購入。

内容としては、ゲームをゲームたらしめる要素とは何かということや、記号論的な側面からドラクエやドンキーコングやその他いろいろなゲームの要素を紐解く論考。
身近なゲームがまじめに分析されると単純にシュールでおもしろいところもあります。
記号学の話が多くて思ってたより難しかったので頭にあまり入ってない。読み直すつもり。


ワインの本質

ロレンツォ・コリーノ著。イタリアでカーゼ・コリーニというワインを造っている醸造家の本。kindleで購入。
以前下北沢の良いワインバーで飲ませてもらったカーゼ・コリーニがはちゃめちゃに美味しくて、そこの店主さんに教えてもらった。

ロレンツォさんは元地質学者で、自然を守りながら持続可能性を探り、生態系にストレスを与えないワイン造りをしている。
ワインは人が生きる為に絶対必要なものではなく、より心を豊かにする感動をくれるものであって、必要以上に生産・消費されるべきではない といったようなことが書いてあって、
ワインに限らずすごく大事な考え方だな〜。と思った。


〈あいだ〉を開く レンマの地平

〈あいだ〉を開く―レンマの地平 (世界思想社現代哲学叢書) 木岡伸夫著。未読。「制作へ」での引用が多く気になって購入。


名建築は体験が9割

ロバート・マッカーター著。原題は「The space within: Interior Experience as the Origin of Architecture(内部体験こそ建築の起源)」。邦題どうして…。Twitterで見かけて購入。
基本はル・コルビュジエやフランク・ロイド・ライトといった建築家をはじめとした20世紀中頃の近代建築がどういうものかが書いてあります。

UXとか体験型とか、体験って言葉が最近増えているけどそれに疑問を感じていて、
見かけ上のしかけだけで「体験」といって重宝されてしまうことが割とあるけど、その向こう側にある機能とか構造とか、そういうのと乖離してても成立するのはなんか本質的じゃないなと思って、そういう部分で建築のことが気になっていた。
空間は外観や写真を見ただけでは知ることができないし、その場所に長く機能しなきゃいけないから設計の時に想像すべきタイムスパンもウェブとかプロダクトとは違うし、自然の秩序に根ざした本質に近いところにあると思った。一体になった精神的な美的感覚と機能、身体的な感動の設計。
ここから建築への興味が爆上がりしました。


デジタル記号論 「視覚に従属する触覚」がひきよせるリアリティ

松岡健太郎 著。なぜか雑誌「新建築」の広告欄にあり、題で気になったので買いました。
「ビデオゲームの美学」で記号学、記号論の部分がよく分からなかったのでこっちから読んだ。

記号論とか記号学っていうのは、身の回りのいろんなものが記号としてどんな意味を持ち、どのように機能するか、みたいなことらしい。
それを主にディスプレイ上のコンテンツに絞って(例えば映画やゲーム、アプリ)考察した本。
かなり最近のものなのでポケモンGOとかGoogleストリートビューとか、そういう身近なものについて書かれていておもしろい。前半はちょっと難しい。


直感と理論をつなぐ VISION DRIVEN

佐宗邦威 著。ビジネス書。
佐宗さんの会社に仕事で何度かお伺いしたこともあり、考え方がとても面白いなと思っていたので読んでみた。

一見根拠のなさそうな直感や妄想をいいアイデアに変え、ステキな企画にする思考法みたいなことが書かれている。
かわいいイラストがたくさん使われていたり、分かりやすく噛み砕いて説明してくれるのでいわゆるビジネス書の中でも読みやすい。
言い換えの表現みたいのが多い。ビジネス書が苦手な私でもスラスラ読めた。
アイデアが行き詰まったときにまた読もうと思います。


ウチら棺桶まで永遠のランウェイ

kemio著。最高。以上。

いや、一言だけじゃやっぱアレなのでもう少し書きます。

けみおへの生き方とか普段考えてることとか、インタビューの内容?をほぼけみおのそのままの口調で書いてある。彼の動画は学生時代からいつも観てきたんだけど、いつもギャルのノリでバーっと流れていく彼の言葉の端々にある品とか思いやりみたいなものに改めて気付かされた。
なんというか、それが身を守るための配慮とかでは全然なくて、動画を観てる人たちを友達として思いやる感じに見えた。くじけながらも強くて優しい。
それがこの本の中に詰まってて、けみおみたいになりて〜、と思った。


⑧歴史の建設: アメリカ近代建築論壇とラスキン受容

江本 弘 著。これはツイッターで見かけた。ジョン・ラスキンの「ゴシックの本質」を2年ほど前に読んでいたく感動したのを思い出して、そういえばラスキン自身が歴史上でどんな人物だったのかとか、近代建築の本を読んだこともありそのへんが気になりました。
でもまだ読んでない。難しそうだから…


プレイ・マターズ 遊び心の哲学

ミゲル・シカール 著。
「ビデオゲームの美学」以降、ほかのゲーム関係の書籍にもどんどん興味が出て購入。

記号論的な、意味の捉え方とかその概念みたいな話が割とすきなのかもしれない。「ビデオゲームの美学」の中ではちょっと難しくて、内容が頭の中で靄がかっていて、ゲーム本より先に「デジタル記号論」から読むことにしたので実はまだ未読です。


暇と退屈の倫理学

國分功一郎 著。Takram castで何度か話に出ていて前から気になっていたので買いました。が、これも未読。
こうして見ると未読が多いですね。


ごめんなさい、もしあなたがちょっとでも行き詰まりを感じているなら、不便をとり入れてみてはどうですか? ~不便益という発想

川上浩司 著。これはめちゃくちゃ面白い本だった。というか著者がたぶんすごい愉快で面白い人だと思う。
「不便は手間だが役に立つ」というテーマの本で、簡単な発想の転換なのにとても斬新で画期的なことがいっぱい書いてある。

「不便は悪い」「便利は良い」みたいな二頂対立的な議論から一歩外れて、どっちにも良し悪しがあって、不便だってうまく使えばとても良いことがあるよ!という事例や分析が書いてある。
また、それをデザインや企画に活かす方法やチェックリスト的な要素もふんだんに書かれていてありがたい。

これを読んで、デザイナーというのは良し悪しといった主観的な視点ではなく、純粋な物事の性質を理解し、それを手段として活かせる人なんだ、と思った。

インテリアの人間工学

渡辺秀俊 著。会社で「認知科学の会」という勉強会が発足して、その勉強のために読みました。

人間工学というものの概要から日本における人間工学の歴史、さまざまな基準、応用といったところがざっくりとまとまっている。
インテリアがメインなので、応用の箇所は椅子やベッド、扉の寸法や考え方についてが多い。
本書の監修の小原次郎さんは日本に「インテリア」という言葉を最初に持ってきて内部空間の体験の重要性を広めたすごい人らしい。

また、パーソナルスペースなど心理的な側面から設計を考える要素も多くてとても勉強になった。


MOMENT - able city

https://moment-magazine.stores.jp

これは友達に教えてもらって買って読みました。ZINEみたいな感じです。
個人的にブックデザインが機能的で良いなと思った。

タイトルにあるように、街やコミュニティの可能性を広げる事例とそのインタビューなどがいろいろ掲載されている。
例えば、アムステルダムでは市民と行政が一体となったチームが実際に街づくりのアイデアを練るような流動的なシステムがある、とか。
こういった事例はその場所の人や文化、地域性に基づいているから、そのまま活かすのは難しいけどとても有用なヒントになると思う。


形の合成に関するノート/都市はツリーではない

クリストファー・アレグザンダー著。これもツイッターで見かけました。
MOMENTを読んで、都市という単位でコミュニティが変わる可能性の面白さみたいなのを感じて街の話を読みたくて買った。建築や都市は生活と切っても切り離せない故に、それらに対しては受動的になりがちだけど、もっと主体的に考えられるようになって可能性を探ると面白いことがいろいろ起こりうると思う。
と、ここまで書いておいて未読です。
どうやら「パタン・ランゲージ」をデザインに応用すると、自覚的に建築や都市の秩序や美しさを生み出すことができるそうです。難しそ〜、面白そ〜。

生きのびるためのデザイン

ヴィクター・パパネック 著。
友達と電話してたら「今日のAesopのメルマガになんか気になる記事があったよ」と教えてくれて、その中で紹介されていた本の一冊。
次に紹介するものと二冊紹介されていて、こっちはまだ読んでない。

地球のためのデザイン―建築とデザインにおける生態学と倫理学

ヴィクター・パパネック 著。
これは昨日読み終えました。地球のためにデザイナーができることがとても深い経験と知識から書かれている。
デザインで社会的な問題の全てを解決できるわけではないけれど、デザインは人間の要求、文化、エコロジーの間の架け橋になるということ、
そしてデザイナーにとって、どれだけ精神性や知識が重要かもひしひしと思い知らされた。

パパネックさんは世界三大近代建築家のひとり、フランク・ロイド・ライトのもとで建築を学び、ユネスコでデザイナーとして仕事をしたり、さまざまなデザイン教育を実践したり、はたまたさまざまな民族とともに暮らした経験がある。
こういった素材を使うと有毒ガスが発生するおそれがあるといった具体的な章もあったり、ヴァナキュラー建築や都市やコミュニティの生物工学のような話もあって内容はかなり多岐にわたる。

今後は原始の暮らしが良いとか回帰的な議論のように見えがちだけど、単純にもっとエコロジカルな視点でモノがデザインされなければならないということがわかる。
ただ、1998年刊行のものなので社会や文化について今と異なる点がややあった。それだけリアルな時代性を発揮していた本だと言えるだろう。また、本書中で挙がっている問題についてはすでに有効な解決案が割と普及しつつあるといった希望的な変化も見受けられた。

「一見して価値のあるモノというのは存在せず、デザイナーの意思とその意図的使用を通してこそ精神的な価値が生まれる」というような言葉は、最近とても疑問に思っていた「見かけ上の価値を演出するデザイン」への危機感に響いた。


この本を読んで今考えてること↓

①優しさと知恵を…もっと身に付けたい…

②建築とかプロダクトデザインを一からちゃんと勉強したい。本だけじゃなくて手を動かして勉強したい。

③デザインのリサーチやアイデア出しの初期段階でさまざまな分野の人と意見を出し合うみたいなことをやりたい。ちゃんと明確な課題や手段を決めてから声を掛ける場合はよくあるけど、どうやったら実現できるのかは謎。
絶対思いつかないようなアイデアが出てくるはず。

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以上です。
他にも何冊かあるけど、まだどれも読んでないので次の半年分に回します。
読む気が湧いたタイミングでノリで読んでるけど、まだ読んでない本はちゃんと読まないとな〜。
何か感想とかアイデアとかおすすめの本があったらぜひコメントください。よろしくお願いします。

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