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1万円選書に、年7000人応募

カラーリストだけでなく、他のサービス業の方にも参考になる取り組みだと思いました。

著者の岩田さんは、北海道の人口1万6千人の街で、個人で小さな本屋を行っています。

  • 立地が悪い

  • 人口が少なく、人通りも少ない。そのため、夜は営業しても効率が悪いので、営業時間も短い

  • お店も小さくて、在庫も少ない

いわゆる、潰れる街の書店ですね。実際2014年に潰れかけています。

一万円選書は、
「一万円で、あたなに合う本を選びます」
という取り組みです。

1年で最大7000人もの応募があり、岩田さん一人でできる人数までと、年間500人に制限しているそうです。
2007年にサービス開始後、2014年まで鳴かず飛ばず。ユニークなこの取組を、テレビが取り上げても、数日電話があるだけ。月2名程度の利用で、いよいよ資金繰りも厳しくなり、お店を畳もうと考えていた。
そこに、またテレビの取材。深夜放送で、正直前より反応無いだろうな・・・と思っていたら、視聴者がSNSで拡散して、大ヒット。
60歳を超えてからやっと、「ずっとやりたかった本屋ができている」と、岩田さん。
売上が見込め、倒産から一転して、心の余裕が出るまでに至った心境、バズったときのことなど、岩田さんの人の良さを感じる語り口で綴られています。

詳しくは、本書を読んでみてください。
私は、広島から北海道の片田舎まで、病院の待合室に置く本をわざわざ買いに来た女医と娘さんのエピソードが好きです。そこでの岩田さんのセリフ、言ってみたいです。

一万円選書の核心

【流れ】

  1. 申し込み → 抽選

  2. お客様が自分でカルテを書く

  3. 岩田さんが本を選び、見積もりを出してから振り込んでもらう

  4. 本を送る

ここで一番大事なのは、2のカルテです。カルテの内容は、本書で公開されていますし、岩田さんは、他の方も真似してくださいと言っています。
ですので、カルテの設問自体よりも、
「カルテを申込者本人が書く」
という行為がサービスの核心です。

一万円選書に応募したお客さんは、この選書カルテを書くことで、自分の過去の傷を癒やしたり、現在地を見つめ直したり、向かいたい未来に進んだりするための、解決策やアイデア、何かしらの「答え」をご自身で導いていかれるんですね。

一万円選書: 北国の小さな本屋が起こした奇跡の物語 著:岩田徹

人によっては、カルテを書くのに1ヶ月かかったり、10回以上書き直しをするそうです。
普通、自分からお金払って、「自己分析」という、とてもキツイ行為はしたくないです。
それでも、これだけの時間と労力を掛けるのは、

「岩田さんに選んで欲しい」

と思うからこそで、それがあることで、このサービスは成り立ちます。

つまりは「人間力」で、今流行っているSNSマーケティング的なものですね。好きなインフルエンサーがおすすめするから、買う。

どうやって、フォローしてもらうか

「カルテ」は公開されていますので、どの本屋でも一万円選書はできます。岩田さんは真似してねと言っていますし、実際に行っているお店がいつくもあります。

ただ、自己分析という苦行を行ってもらえるほどの、信用を得ることができなければ、いくらサービスを開始しても、以前の岩田さんのように、月2-3件が精一杯だと思います。
それでも「本屋を始めた頃の、お客様に良い本を届けたいという気持ちを思い出した」という、店主が救われる効果はあるそうです。

最初テレビで放映されても、すぐに予約がなくなって、次テレビ放映されたときは、深夜放送で視聴率が低いのにバスった。
その違いは、SNSでの拡散です。
見ていた人が「これいいよ」とおすすめしてくれたので、岩田さんの信用度が上がり、その友人がまたつぶやいたり、申し込んだり。

真似するのに、信頼を得るのに行うことは、ただただ、シンプルです。
目の前のお客様に最大のサービスを行って、そのお客様が友達に紹介したくなるようにする。
同業他社の活動が気になってSNSで永遠と時間を消費したり、広告的なテクニックに頭のリソースを取られたり、売上がなくて不安で続けられなくなったり。
そんな方が多いので、ほとんどの人は失敗といいますか、諦めてしまいます。

カラーの仕事に応用

もし当社で、このような取り組みを行うとしたらで考えます。1万円はキツイので、5万円に。
当社では全て外注となります。外注するなら、一人の人だけでなく、得意な人にそれぞれ依頼したほうが良いと考えます。

個人のカラーリストは全部自分で行えますし、不得意な分野は、友人に依頼すると、仕事の幅が広がると思います。


5万円セレクト

カラー診断+骨格診断を行って、4万円分の服やコスメを買って送る。

  1. 予約

  2. カラー診断と骨格診断 ※外注1

  3. 診断後、家に帰ってからカルテを書いてもらう

  4. カルテを元に、約4万円アイテムを選び、お客様へ送る ※外注2

  5. リピートは4万円などで ※外注2

※外注1)
イメージコンサルティングや骨格診断等もできるカラーリストに依頼。お客様が対面が難しいエリアなら、オンライン診断とする(その分割引に)

※外注2)
診断するカラーリスト or スタイリスト → 服を選ぶ
メイクが得意なカラーリスト → メイク品を選ぶ
アクセサリーが得意なカラーリスト → アクセサリーを選ぶ
など、買うアイテムごと、得意な人に依頼。


お客様のメリット

・自分のタイプがわかる
・カルテも書くので、自分のカラーや骨格タイプに合ったものだけでなく、今の自分に必要な、今の自分を変えるような、服やメイクを、各分野のプロに提案してもらえる。
・自分で選ぶ必要がなくて楽。一箇所でサービスを受けるだけで、複数のプロの提案を受けられてお得(個別に依頼するより安くて時間がかからない)
・カラー診断・骨格診断で終わりの場合と違って、服やメイクという「物」が届くので、満足度が高くなる(というより「損したな」と思うネガティブの可能性が小さくなる)

カラーリストのメリット

・他のサロンとの差別化になる
・自分が不得意な分野は外注して、自分の得意に集中できる
・外注することで、友人や知人にも仕事が広がる。違う分野の知人が同じような取り組みを行えば、逆に仕事をもらえる可能性も。
・良い提案ができれば、リピート率が高い上、口コミ効果も期待できる
・ショッピング同行と違って、お客様の時間を拘束しなくて済む。買うはネットで済む。

ポイント

・カルテの設問をどうするか
・カルテをどう他の専門家(友人)と共有するか

これなら、当社でも初期投資は0円で、それぞれの専門家に声を掛けて、カルテの内容と共有方法、買うアイテムの金額(割合)などを決めるだけで、来月からでも、サービスを開始できます。


ここで、何よりも大事なポイントを、岩田さんの言葉から


お金に変えられない

一万円選書で、岩田さんは本代と送料以外はもらっていません。
別途セレクト代5000円、合計15000円としても、みんな喜んで払うと思います。
そこを取らない人間性が、選ばれて、続けられる秘訣だと感じました。

この本を読んだとき、僕は本屋として、お金にかえられない、読んだ人が明日もがんばろうと思える本を届けて、みんなに喜んでもらえる仕事をしたい。そう意を強くしました。

一万円選書: 北国の小さな本屋が起こした奇跡の物語 著:岩田徹


カラーのサービス、例えば上記の5万円セレクトのように応用した際、儲けたいと思うと、どうしても服代やメイク代以外の部分を、岩田さんが取っていない部分を、高くしたくなります。
値上げとともに、うまく上位の顧客層にシフトできれば良いですが、そんなビジネスセンスがあって、運の良い方は3%くらいだと思います。
せっかく順調になったところで、見透かされて、他に移られるなんて最悪です。

余分なお金を取らないことで

「○○さんにしかできない仕事だ」

と思ってもらう。


それが今、求められていることだと感じます。

ぜひぜひ、岩田さんの取り組みが良いなと思ったら、真似してみましょう!