自宅で珈琲、始めました。
ずっとこう思っていた。
「珈琲を自宅でいれる人は本当に珈琲が好きな人がすることで、私なんかがやることじゃない」と。確かに珈琲は好きだ。けれど私に味の違いなんて分かるだろうか。うまく淹れられる自信もない。そうやって敬遠していたのだけれど、少しずつ意識に変化が出てきたのはある珈琲屋さんの存在だった。駅から離れたところでコロナ禍にオープンしたその珈琲屋さん。おいしい珈琲とマフィン、果実ソーダ。私にとって癒しの存在となった。
そして楽しそうに会話をしながら珈琲を淹れる店主のたまさん。
……楽しそうだなぁ。この楽しさ、私、逃してない?
在宅勤務で家にいる事が増えた。始めるなら今しかない。
珈琲好きの友人にオススメの器具を紹介してもらいながら道具は揃えた。
初めての豆はその珈琲屋さんで買うと決めていて、相談してタンザニアの豆を買う事にした。
豆を挽く。香ばしくていいかおり。ゆっくり豆を蒸らして注いでいく。
一口くちに含む。シナモンのようなかおり。
うん、おいしい、なあ。
既に珈琲の虜になってる人から「プレス式は?」とか「エスプレッソ好きなら直火式のこれがいいよ」とか「オススメの豆あるよ」とか色んな勧誘が聴こえてくるけれど、まずは一歩踏み出せた記念に、この豆を使いきってからまたさらに一歩踏み出そうと思う。
母「プレス式?器具うちにあるよ」
……お母さん、その器具うちに譲ってください。