食育とオーガニックの親和性に注目したい

オーガニックの世界では2000年、有機JAS認証がスタートし2006年に有機農業推進法が施行された。有機農業の世界はマーケットが存在しているが、日本は極めてゆっくりと成長している。

一方で食育は2005年に食育基本法が施行された。食育は教育であり、マーケットは存在しない。主たる現場は学校、家庭、そして行政との連携活動である。

ともに食がテーマの世界ではあるが、活動現場では直接的な接点も、消費者や食業界へのアプローチ内容も似て非なるものであるという認識が潜在的にあった。

例えば、食の安心・安全・健康志向は同じだけれど、有機は無農薬・無化学肥料・化学合成添加物不使用・非遺伝子組み換え作物が原則である。食育にそのハードルはないから“別の物”といった認識である。

それが変化してきた。まず食育の世界で母親が子どもの食べものを購入する際に、増え続けるアトピー性皮膚炎などのアレルギーを考えると、食の安心・安全を意識し、化学物質を回避するためにオーガニック食材を選択肢にいれるようになった。

そのための情報が知識として増え、意識が変わり、行動がオーガニックへと向き始めた。ここからさらに環境へと意識は広がり、食育とオーガニックとの親和性が醸成されてきた。

また、食育とオーガニックは日常的な言葉としてもすでに市民権を得ていて、その理解が深まるほどに食育とオーガニックの親和性は深くなり、広がり、普及しているように見て取れる。そのタイミングで「みどりの食料システム法」が施行された。

オーガニックは食育活動の熱量に比例して広がっているといえる。

食育とオーガニックの関係性に注目するとこの国のフードビジョンが見えてくるかもしれない。

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