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うかうかの本あるき

「うかうか」という言葉が気に入ったし、わたしはかなりうかうかしているので、とりあえず「うかうか」でやっていくことにする。

ここは、あるくように読んだ本たちを別に考察などはせずに、思ったことをぼそぼそ言う場所にしようと思う。

基本的にISBNがふられている本は、readeeというアプリで書店員レビューとして書いているのだけど、共有力が弱いのでここにコピペする形に。
読んだzineについても書きたいので、ごちゃ混ぜにして1回につき3.4冊ずつ程度で書いていく。

では、第一回は書籍2冊、zine2冊をざざっと。テーマは「あの頃」かな。

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1.『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』
著者:花田 菜々子

こんなに本を一気に読んだのはいつぶりだろう…。気づいたら読み終わってた。あ〜面白かった〜その言葉に尽きるけど、どこか他人事とは思えない内容にかなり感情移入しながら読んでしまった。

著者の花田さんは、出会い系サイト「X」を通していろんな人に会い、その人に合った本をすすめながら少しずつ新たな道を見つけていく(っていうとなんか軽いんだけど、いろんな価値観に触れて、自分で自分を理解していくというか…)。

まわりの環境やその時の状況だったりで、急に自分が分からなくなる時がある。そういう時に、ダメ元でも、ふざけ半分でも新しい方向に動いてみると、それだけで急に面白い人生になってしまう。そんなもんだよ。みたいなことを改めて示された気がした。

「自分の輪郭」がはっきりしていくような、人との出会い。
まだまだボヤボヤの輪郭を、少しずつはっきりさせていきたい。私にとってすごく励まされる話だった。

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2.『ガケ書房の頃』
著者:山下 賢二

かつての有名書店「ガケ書房」が京都にあったことを知ったのは、恥ずかしいことに結構最近だ。そこに訪れることはもうできない。そこがまだあった頃、私はまだ高校生だったらしいから悔やむにも悔みきれないのだけど…

サブカルで異様な雰囲気を放ち、店主の売りたいものを売るマニアックで個性が強い書店、というイメージを勝手に抱きながら、この本を読みはじめた。
たしかにスタートはそうだったみたいだが営業が進んでいくにつれ、ここに来てくれるお客さんがどんなものことを求めているのか、どんなことをしたら新たな本や好奇心との出会いができるかを考えながら、他の本屋には間違いなくないものを生み出していたのだと思う。でも本当にいい意味で、まちの本屋らしい本屋だったんだなあと、読んでいてひしひしと感じた。

学生時代フリーター時代(ここも面白い。どんだけひねくれてるんだ!と思う一方で、こだわりというものがなさすぎて、おいそれでいいのかとツッコミをいれたくなる。失礼だがかなり変な人だと思う。会ってみたい)を経てはじめたガケ書房の11年間の営業、そして場所を変え新たにホホホ座として進みはじめるところまでを『ガケ書房の頃』では読むことができる。
本屋を始めること、続けることの難しさや過酷さを痛感する本だったし、いち書店員としても売り場の作り方や本に対する考えなどは学ぶところも多くあった。
「ガケ書房の頃」が終わったあとの本との関わり方もすごくいいなと思う。ホホホ座としての本との関わり方。もっと自由に生きやすいような本との付き合い方。

ああ京都に行きたい。そこでガケ書房の跡地とホホホ座浄土寺店に行ってみたい。もちろん喫茶店と中華料理店はマストで。

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3.『Tの頃』
著者:ミウラ と いこ

最初このタイトルを見たとき「?」が浮かんだ。そもそも、いこさんを知ったのはつい最近でインスタで偶然見かけたのだ。よく見てみるといつか気になっていたzineの制作者だと知りすぐさまフォロー。そして、この新作zineをインスタ上で知り、これは買わねばとネットではなくイベントに行ってご本人から直接購入した。
生きてきた中には「ああ、あの頃は良かったなあ」と思い起こす頃がある。その一部が「T」であって、あれから数十年が経った今の自分が「Tの頃」を思い起こしながら書く。少しだけ美化したり、面白くしたりしながら。
こういう日記的な、時間を経て改めて書き起こされた記憶を綴る読みものが好きだ。もちろん自分の中だけに、その仲間だけに記憶として残っていればいいかもしれない。けど、それをわざわざ、そういうのがいい。

わたしにとっての「あの頃」。例えば10年後のわたしなら、どの「あの頃」を切り取るのだろう。今のわたしなら…「あの頃」だろうか。

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4.『honey moon daily2014』
著者:きくちゆみこ

きくちゆみこさんの文章がすき
吉祥寺の百年で『(unintended.)LIARS 7』を買ったのが最初で、タイトルの「生きることの嬉しさを何げなく生きる」という言葉にやられた。
『愛を、まぬがれることはどうやらできないみたいだ。』はTABFでご本人から購入し、娘のオンちゃんとハイタッチした。あまりの温かさに涙が出そうだった。
そして、先日のzinesonic でずっと気になってた『honey moon diary 2014』を買った。honey moonを"蜜月"と訳すあたり良さだし、ただの幸せ溢れる新婚旅行日記でないのもいい。zineの前半で綴った日記を、5年後の自分が"脚注"として後半で振り返っていくのがすごく面白い。ゆかりある地をオットと巡り、その"ゆかり"を5年後の自分が思い出していく。日記って、書いて読み返さなければただ書きなぐられた文字たちだけど、書いて読み返せばその時の気持ちをかなり鮮明に思い出すことができる。それってすごく輝かしいことなのかもしれない。

「想像することで、思い出すことで、書くことで、読むことで、私たちを分断する不自由な壁を、少しずつずらして行くことができるんじゃないだろうか」

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気づけば学生の横でフリーターとしてアルバイトしている自分がいる。あの頃は考えもしなかったし、強く拒んでいたことだった。わたしはそんなことばかりだ。
今があの頃になるとき、わたしはどう思うのだろう何をしているのだろう?いつかのあの頃として思い出せるような記憶を、ちゃんと取っておきたいし、そう思えるようなことを自ら選んで積み重ねていきたいね。


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