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インテル元社長のマネジメント論「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」

事業やプロダクトを大きく成長させるためには、いわゆる組織マネジメントがとても重要であることは自明ですが、普段あまりマネジメント系の本は読まないので、かなり無知な領域だな、アカンなーと思い立ち、とりあえず名著と言われている本書を読んでみました。

インテル3人目社員、3代目CEOのアンディ・グローブ氏の著書で、初版がなんと1983年。今に至るまで名著と言われ続けてるのがすごい。

内容はというと、"マネージャーの役割とは"みたいな抽象概念から、具体的な1on1やミーティングの運営方法、新入社員の育成方法、採用面接で聞くべきことなど、超実践的な方法論が書かれていて、めちゃくちゃ勉強になりました。
チームとして成果をあげるために普遍的に重要なことばかり書かれているので、経営陣やミドルマネージメントを担っている人だけでなく、誰が読んでも学びになる本だなと個人的には感じました。

(内容はとても良かったのですが、よくある洋書の翻訳がとてもわかりづらい問題が結構つらかった…)

以下、印象に残った箇所を抜粋・コメントしていきます。

どの生産の流れにも基本的な特徴がひとつある。それは、物はプロセスを通って動くにつれて次第に価値が高くなるということだ。
注意すべきことは、ごくあたり前のルールであるが、どのような問題にしても、生産プロセスの中で、できるかぎり〝価値が最低〟の段階で問題を発見して解決すべきだということである。したがって、悪くなった卵は、客に発見させるのではなく、業者から配達されたときに発見して返品しなければならない。

したがって、前にも述べたように、悪い卵はゆで卵にする前の 生 のうちに発見するほうがずっと良い。要するに、さらに金を注ぎ込まないうちにはねつけるということだ。

製品開発における普遍的な原理。とても大事。

第一のルールは、測定はどんな測定であったとしても、ないよりはよいということである。だが、真に有効なインディケーターは、作業単位の〝アウトプット〟を測定するものであって、それに含まれる〝 活動〟だけを見るものではない。

どんな測定もないよりはあった方が良い。粗いKPIでも設定して測定することで学習サイクルがまわる。

私はある 中間管理職 のグループに、マネジャーのアウトプットとは何かという質問をしてみた。そこでの答えは次のようなものだった。 判断と意見、方向づけ・指示、経営資源の配分、間違いの発見、人材育成と部下の開発、教育訓練コースをこなすこと、製品計画の立案、協議の結果に基づく、約束事や、やる気。こういった事柄が果たして、マネジャーとしてのアウトプットを表わしているのだろうか。私はそうは思わない。それはアウトプットではなく〝 活動〟であり、マネジャーが最終成果つまりアウトプットを上げるために〝なす〟べきことを記述したものである。では、マネジャーのアウトプットとは何か。インテル社で、マネジャーがウェハー製造プラントの責任者だとすれば、アウトプットは、完成された高品質の、十全に加工されたシリコン・ウェハーである。

マネジャーのアウトプットは、製品そのものとそれによってもたらす顧客価値。

今ここで明確にしておくべき大事な点は、マネジャーのアウトプットとは、監督下にあるグループ、あるいは影響力下にあるグループが遂行した成果だということである。マネジャー自身の仕事がきわめて重要なのは明らかであるが、それ自体はアウトプットをつくり出していない。その組織がつくり出しているのだ。

マネジャーのアウトプット = 監督下のグループおよび影響下にあるグループによる成果

私の時間がこんなに多くミーティングに費やされているのにひどいなと驚く前に、次の質問に答えてみていただきたい。私の活動、つまり、情報収集、情報提供、意思決定、ナッジング、役割モデルのうち、ミーティング以外でできるものはいったいどれだろうかと。答えは実際問題として、なし、なのである。ミーティングこそマネジャーとして活動する機会を提供しているのである。

ミーティングはマネジメントの最重要ツール。

マネジャーはいろいろなプロジェクトに関連する素材というべきものの〝在庫〟を持たなければならない。この在庫は、やることは必要だがすぐに達成させる必要もないもの──つまり、マネジャーが長期にわたり部下グループの生産性向上のため実施するような任意プロジェクトから成り立っている。こういったプロジェクトの在庫がないと、マネジャーは自分の空き時間を部下の仕事への余計な干渉に使いがちになるのである。

マネジャーには「緊急度は低いが重要度が高い」プロジェクトの在庫が必要。

たとえば、部下と2週間に1回ワン・オン・ワンを実施し、それが1時間半続くものと考えてみよう。あなたの割く 90 分という時間が、2週間分あるいは 80 時間なにがしの部下の仕事の質を上げ、かつ、部下がやっていることについての理解が高まることになる。すなわち、ワン・オン・ワンが発揮するテコ作用は明らかに大きい。

1on1は組織成果を生む上でレバレッジ効果が大きい施策。

司会者は規律維持にも責任がある。遅れて出席し、みんなの時間を無駄にする者を見逃すのは犯罪ともいえる。時間の浪費は、会社の金をどぶに捨てることであり、メーターはひとり1時間あたり100ドルの割合でカチカチ動いている。遅刻者との対決を恐れてはならない。

ミーティングへの遅刻を許容するのは犯罪w(まあ正しい

私がこれまで見たところでは、今日のギャップを認識してそれを埋めるために、懸命に意思決定しようとしている人々があまりにも多い。しかし、今日のギャップは過去のいつかの時点で計画したときの失敗を表わしている。今日の問題を改めるのに必要な意思決定に集中することを強いられるのは、比喩的にいえば、車のガソリンが切れてしまって慌てておたおた走り回っているようなものだ。

足元の火消しではなく、将来に起きうるギャップを見据えて対策を打たないといけない。

人が仕事をしていないとき、その理由は2つしかない。単にそれができないのか、やろうとしないかのいずれかである。つまり、能力がないか、意欲がないかのいずれかである。

マネジャーの最も重要な 仕事 は、部下から最高の業績を引き出すことである。したがって高いアウトプットの妨げとなるものが2つあるとすれば、マネジャーとしての問題の取組み方は2つあることになる──それは〝訓練〟と〝 動機づけ〟である。

人を駆り立ててベストを尽くさせる内面的な力は2つある。〝能力〟に突き動かされるか、〝 達成意欲〟に駆られるかである。
達成志向型のモチベーションを養おうと思えば、〝アウトプット〟を評価し強調する環境をつくり出す必要がある。

わかりやすい。

マネジャーは業績がはっきりしているときにだけそれを見て記録するのではない。目に見えない業績を〝判断する〟ことも求められているのである。マネジャーを考課するときに判断すべきなのはその業績なのか、それともその監督下のグループの業績なのか。その両方を判定すべきである。

今の業績にとどまらず、将来の業績に寄与する活動の現在価値も大事。

避けなければならない大きな落とし穴は、「 可能性という罠」である。いつでも可能性でなくて実績を評価するよう努力するべきである。重要なのは、実際の業績を査定することであって、外見を見ることではない。つまりほんとうのアウトプットを評定することが大切なのであって、良い外形を評定することではないのだ。

実績 > 可能性。

誰を昇進させるかの選択ほど、明確に大声でもってマネジャーの価値観を組織に対して知らせるものはないことをわれわれはよく認識しておかなければならない。誰かを引き上げることで、われわれは、実質的に組織内の人々に対するロールモデルをつくり出しているのである。

昇進は組織全体の価値観醸成に直結する。

たいていのマネジャーは、従業員の訓練は、誰かよその、たとえば教育訓練の専門家に任せるべき仕事だと感じているように思われる。しかしながら、私としては、マネジャー自身が部下の訓練をすべきだと強く言いたい。

マネジャーが通常、部下の個人個人のパフォーマンス・レベルを引き上げるにあたっては、2つの方法がある。ひとつは動機づけ、すなわち各部下がそれぞれの職務をやろうとする意欲を増大することであり、もうひとつは各人の処理能力を増加させることであるが、この後者のところに教育訓練がかかわってくるのだ。

訓練とは、端的にいうならば、マネジャーとして遂行できる最高のテコ作用を持つ活動のひとつである。自分の部署の人々に4回連続の講義をする可能性があるとかりに考えるとしよう。その各コース1時間あたりに、3時間の準備が必要だと計算するならば、全部で 12 時間の仕事になる。その講義に、かりに 10 人の勉強する参加者がいたとしよう。来年それらの人々は、会社のために全部で2万時間働くことになる。訓練の努力を怠らないことによって部下の業績を1パーセント改善しうるならば、あなたは 12 時間という時間を消費するだけで、200時間に相当する利得を得ることになる。

"訓練"はマネジャーにとってレバレッジ効果がとても大きい施策。




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