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【思い出語り】映画「仄暗い水の底から」をレビュー

あいさつ

こんにちは、皆さまお疲れ様です。
本日は映画「仄暗い水の底から」のネタバレあり思い出垂れ流しです。
自分の好き加減と世間の評価が微妙に釣り合っていないですが、これは原作共々大好きな作品なので書き残しておきます。

こちらもWikipediaにおおよその話が書いてありますが、それほど細かい描写ではないですね。

「リング」に続くJホラーの傑作

間違いなく傑作ホラーであり、「リング」から続くホラーブームを形作った作品だと思います。

黒木瞳さんの情緒不安定さを絶妙に表現した迫真の芝居、陰鬱な空気と水の不気味な演出、およそ殆どがこの映画の世界に引き込んでいくのに十分な出来でした。

「呪怨」「着信アリ」は本作の1年後に公開され、何れも大好きな作品ではありますが…"ホラー映画で何が好き?"と言われたら私はこの作品を挙げます。

特にホラー演出が"日常にありうるシーン"で行われるのは「リング」ともまた違った形で大変よろしかった。幽霊や死が近いから怖い、ではなく"今いる場所が安全ではないかもしれない"という恐怖の表現は秀逸でしたね。

お気に入りは最後のエレベーターから見る自宅のドアが開くあのシーン。
あの時、淑美(母)がどう思考を逡巡させたのかがありありと伝わる表情。
大好きです。

にしても本作にせよ呪怨にせよ、お風呂とか洗面所に恐怖演出いれてくるのやめませんか…

恐怖感だけではない

先述の通り恐怖を煽る演出はやっぱり良い出来だし、初めて見た後はしばらく日常でも引き摺った覚えがあります。

ただ結局この映画のどこが面白かったの?となると…
"郁子に対する淑美の愛情"
なんだろうなと。

様々なレビューで触れている方がいらっしゃいますが、やはり淑美(母)が何としてでも郁子(娘)を守る物語でもあります。
最後に淑美がとった選択も、結果として郁子の成長を守る形になっているわけですし…正直何度見ても好きになる一方です。

最初はどんなホラー映画かと、どんな怖いものを見せてくれるのかと思っていたところが母性と愛の話になるなんて。こんな切り口が主題だとは思ってなかったんですよ。

見れば見るほど淑美が美しい

決して黒木瞳さんの容姿を言っている訳ではなくて。
作中の淑美の言動って、やっぱり精神的に不安定な部分がかなり目立つんですよ。調停人の前で取り乱してしまうし、出版社の面接時も割と強引に出て行ってしまうし(出版社側に問題ありすぎなのは言わずもがな)

勿論それも事実なんですが…
結局全部「最愛の娘の為」という心情で動く姿には関係ないんですよね。
人の為に動く時というのはそうなることもあります。

新居の物件を二人で回るのも。
出版社の仕事を探して振り回されるのも。
マンションが異常だと感じて度々の引っ越しに乗り出す決意も(未遂)。

自分が怖いから、嫌だからではなく「郁子を守る」という意思が全ての行動を決定づけているのが…大人になって余計に心にくるものがあります。

こういう点から、時を経て見るとまた印象が深くなる作品ですね。
私は、愛って美しいものだと思うんです。

リメイク作「ディープウォーター」

「仄暗い水の底から」も実はリングと同様にハリウッドリメイクがなされています。タイトルは「ディープウォーター」

主なストーリーラインは共通していますが、舞台がニューヨークである以上やはり細部の設定にも違いはあります。また、Jホラーとは違いサスペンス色が強くなっています。

言ってしまえば余韻を大事にする邦画感情を表に出す洋画の差みたいなものが大きいです。どちらも良い映画ではあるものの、歯に衣着せず言うなら河合美津子(ナターシャ)の表現はハリウッドの方が好きだったかもしれないです。

「リング」は超えられなかった

うーん…これは「仄暗い水の底から」に限った話じゃないでしょうね。
あくまで個人的な意見ですが、私が生きている中で今後「リング」を超えられるホラー映画は出てこないと思います。

  • 興行収入

  • 絶対的な「山村貞子」というアイコン

  • 呪いの恐怖を追及しきっている

  • ゴア表現も利用しない

  • 過度なジャンプスケアも少ない

  • ミステリーとの絶妙な融合

  • 最終的に手の打ちようが無い拡散性の表現

  • それら全てを先駆者として表現していた

「リング」は完成度が突き抜けているが故に"Jホラー"というジャンルを生み出してしまった始祖みたいなものだから…そりゃ後からくるものは全て劣って見えますよね。

これの細かいことは別の記事で書くので、更新したらリンクも作ろうと思います。

余談:ホラー映画って?

あと邦画、洋画問わずホラー映画を語ると絶対に出てくる
「大して怖くなかった」系のレビュー
私はこうしたレビュー、少し苦手なんです。
怖がりなのもありますがそれが良いと思っていますし。

これもまた別の記事で話そうかなと思いますが、「仄暗い水の底から」はホラーのカテゴリにはなるものの、最終的な主題は「母の愛」であると思います。

最後に

今なお"Jホラーの傑作"である理由が間違いなく詰まっている作品。
私のお気に入りの映画「仄暗い水の底から」

現在はAmazon Primeでも見れますし、映画好きなら一度見てほしいなと思います。こんなネタバレしておいてなんですけどね。

怖がりでホラーが苦手な人にでもオススメしたくなる本作に出会えて良かったです。いつかまた見返すんだろうな。

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