【神在月の島根を歩く】 母とふたり、玉造温泉を行く
ザーーーーー…
玉造温泉駅に着くなり大粒の雨が降りだした。今日の大阪の天気は快晴だというのに島根は大雨。この休日は大阪で過ごした方が快適だったのかもしれないなぁ…そんなことを考えながら立ち尽くしていた。
今回玉造温泉に来た目的は玉作湯神社にお守りを返納することだ。私が初めてこの神社を訪れたのは2016年のこと。その時にいただいた「叶い石」というお守りのことがこの数年ずっと気がかりだった。
この小さな巾着の中には小さなパワーストーンと私自身の願い事を記入した紙が入っている。この「叶い石」の面白いところは完成品を購入するのではなく自分自身の手でお守りを完成させるところにある。
パワーストーンはランダムなので中を見るまで石の種類が分からない。石ともご縁で結ばれるシステムだ。その後パワーストーンを境内の中にある「願い石」にくっつけてパワーを分けてもらい、自分の願い事を書いた紙と一緒に巾着に入れると完成。
とてもユニークなお守りなのだ。
私の叶い石は7年の間にボロボロになってしまった。7年も経つと中の石の色や願い事もすっかり忘れている。今回お守りを返納するにあたり家で中を確認してみた。
そうしたら石はピンク色(ローズクォーツかな?)、願い事は「特別になれますように」と書かれていた。
なるほど、願い事を見ると当時の自分が見えてくる。
きっと他の人がこれを見ても何を指すのか分からないと思う。恋する乙女が見たら恋愛に見えるかもしれないし、仕事に悩んでいる人が見たら仕事に関することかもしれない。これは過去の私と今の私にしか分からない「秘密のメッセージ」だった。
この雨の中で神社に立ち寄るのは大変だなぁと内心途方に暮れながらも、こればかりは仕方がないので母とふたり、タクシーに乗り込み神社を目指した。
実は今回の玉造温泉の訪問は前回よりももっともっと楽しみにしていた。玉造温泉を再訪するにあたり、玉造温泉関係の本を読んでから行こうと「玉造温泉の奇跡」という本を手に取ったところ、これが最高に面白かったのだ。
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玉造温泉の奇跡 観光ブランディング入門
2006年時点で衰退していた玉造温泉を驚異的に復活させた人たちの実話なのだが、物語形式なので再現ドラマを見ているくらい楽しく読み進めることができる。玉造温泉に対する熱い想いやブランディング方法が余すところなく詰め込まれており、最高に胸が熱くなる本だ。自分の利益よりも温泉街の復興のために頑張る姿にほろりとくる。
玉作湯神社の願い石と叶い石がどうやって出来たのかも書かれているので、訪問する予定がある方には特におすすめ。
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玉作湯神社まではタクシーで10分ほど。まずは社務所で叶い石を購入してから鳥居をくぐる。神職の方から叶い石の説明を受けている時(「実は本を読んできたので、ここのことはよく知ってます。フフフ…!」)と心の中でニンマリとしていた。
しかし母は何も知らない。ここに来る前は「お守り買っても返納に来られへんしな〜、私は別にいいかな」と言っていたのだが、神職の方の話を聞いた母はすぐさま「私もやろかな」と言い出した。ブランディングめちゃくちゃ成功している。
お参りを済ませ、早速中を見てみると水晶のような透明な石が入っていた。なんか浄化されそうだし、今の自分にぴったりな気がした。母の石はとても綺麗なブルーの石だった。
前回の願い事に関するご報告と今回の願い事を心で唱え、願い石からパワーを分けていただいて新しいお守りが完成した。叶い石を入れる袋は巾着から紙の入れ物に変更になったそうなので、温泉街にあった「めのうやしんぐう」というお店で小さな巾着を買ってみた。
これで前みたいにボロボロにならないはず。お参りが終わる頃にはすっかり雨も止んでいた。
「雨の日の参拝って実は縁起がいいねんて。神様が歓迎してくれてるらしいで」
母の言葉に、本当にそうであれば嬉しいなと思った。
後2時間くらい経ったら帰りの高速バスに乗る。姫ラボの化粧品を見たり玉造温泉街を観光するのも良いが、きっと母は疲れているだろう。
折角なら疲れを癒してから帰りたいので日帰り温泉に入ってから帰ることにした。今回選んだのは「玉造温泉ゆ〜ゆ」。行きに乗ったタクシーの運転手さんからもリーズナブルに楽しめるからとオススメされていた。
前回玉造温泉に宿泊したときは体調の関係でお風呂に入れなかったので、初めての玉造温泉。とても気持ちの良いお湯で疲れた体がほぐされた。美肌になれてたらいいな。
そして帰路に着く。
少し誤算だったのは玉造温泉から高速バス乗り場が遠くて歩ける距離ではなかったこと。時間に余裕はあったのだが、タイトなスケジュールを組むと大変なことになる。
タクシーの運転手さん曰く
「この道ね、お化けでるのよ。だから夜に呼ばれても行きたくないのよね〜」
らしい。地元の人が怖がる高速バス停までの道…怖い…笑
バス停までの道も怖いかもしれないけど、バス停も夜は怖そう。多分普通のバスで松江に出て、松江から高速バスに乗るのが正解だと思う。ご参考までに。
一部雨の中の散策にはなったものの、大きなトラブルもなく楽しく帰ってくることができた。こうやって時々母を連れ出すのもいいかもしれない。次回は玉造温泉に宿泊できたら良いな。
こうして母とふたり、島根旅は終わったのでした。
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