【イシューからはじめよ】2.1.1 イシュー起点でストーリーを組み立てる
イシュー分析の第1ステップであるストーリーラインづくりについては、まず具体例を見てほしい。
かつて、著者は自身のブログで「日本の大学の財源問題」について書いたことがある。著者がはじめに仮説的に書いたのは、次のようなストーリーラインだ。
日本の大学は主要大学であっても、根本的に資金が足りていない
日本の主要大学と海外のトップ大学との違いは、(一般に言われるような)学費や事業収入によるものではなく、巨額の投資収入・国からの助成等の構造的な収入構成による
投資・助成いずれにおいても、海外トップ大学は日本の大学とはまったく異なるレベルの資金規模とそれを取り込むしくみをもっており、それは簡単に追いつけるものではない
以上を踏まえると、現在日本の大学が行う業務改善や統廃合といった方法では、世界のトップ大学に伍す大学運営が実現できるとは考えにくい
海外のトップ大学並みの経済基盤をつくろうとすれば、大学の自主財源確保と国からの助成のケタ違いの増額を目標として設定し、そこに向けたロードマップを描くべき
こうした場合によく見るアプローチは、次のようなものだ。
イシューに関するデータを集めまくり
データが出尽くした段階でその意味合いを考え
それを並べて、ストーリーを組む
だが、本書で紹介しているやり方はこれとはまったく逆だ。劇的に生産性を高めるためには「このイシューとそれに対する仮説が正しいとすると、どんな論理と分析によって検証できるか」と最終的な姿から前倒しで考える。
ストーリーラインづくりの中にも2つの作業がある。ひとつは「イシューを分解すること」、もうひとつが「分解したイシューに基づいてストーリーラインを組み立てること」だ。