はじめての政治哲学 「正しさ」をめぐる23の問い 第2章 9 シティズンシップ
外国人の参政権問題
どうして定住外国人には参政権が与えられないのでしょうか?市民がいかなる権利を有し、いかなる義務を果たすべきなのかを論じるのがシティズンシップ論である。
いまなぜシティズンシップが求められるのか?
シヴィック・リパブリカン型シティズンシップ
このようなシティズンシップ論は以下のように大きく2つに分けることができる。
「シヴィック・リパブリカン(市民的共和主義)」と呼ばれる立場
「リベラル」と呼ばれる立場
特徴
共同体における政治参加や公共的討論といった活動の内在的な価値を強調する。←市民は公共の福祉に基づいて、ものごとを考え、行動することによってはじめて、国家に利益をもたらし、自分自身にも利益をもたらすことができるから。
問題点
多くの成員が、政治よりも家庭や仕事、娯楽の方に幸福を見出しているという実情。
リベラル型シティズンシップ
特徴
政治参加は重視されず、むしろ自由権をはじめとした個人の権利に対する国家の介入を、いかに最小限におさえるかという点を重視。
3つの権利
マーシャルがシティズンシップの権利を3つに分類した。
18世紀において発生した市民的権利
19世紀において確立された政治的権利
20世紀において確立されてきた公教育やヘルスケアといった社会的権利
マーシャルはこの3つの権利を満たす制度として、自由民主主義的な福祉国家を提案する。
問題点
権利を要求するのみで、共同体における公的生活に参加するうえでの義務の概念を欠いている。