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【短文レビュー/ミステリ小説】『バーニング・ダンサー』阿津川辰海・著・・・特殊能力を持った寄せ集め集団が悪の軍団に立ち向かう異能者バトル

帯やら何やらでドンデン返しを煽りまくっているために、たったひとつの正解に誰もが勘づいてしまうのだが、それは作品そのものの評価とは別にするべきか。物体を入れ替えるとか体を硬くするとか物と会話できるとかの特殊能力を持った寄せ集め集団が、同じく特殊能力を持つ悪の軍団に立ち向かう、設定自体はありがちな異能者バトルもの。シーケンスひとつあたりが短く、かつ多岐にわたっており、飽きさせないよう工夫されている。その点を含め、読書週間のない人にもとっつきやすくしているようで、文章は平板で、かつ一応はリアルな警察の話でもあるのを忘れそうなほどに空想的なため、読書家であるほど物足りないかもしれない。状況が進展するたびに、これまでの経過を箇条書きで載せるいたせりつくせりぶりも、やはりターゲットを絞っているからであろう。駐在所からやってきた一見にこやかな50代のおじさん警官のキャラクターには引き込まれた。


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