【エンタメ日記】『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』『ジャンヌ・ダルク』『タイタンシネマライブ』『ちぎれた鎖と光の切れ端』2023/11/28〜12/09
2023/11/28(火)〜12/02(土)
ほぼほぼ風邪でぶっ倒れていた。
一応、病院で検査してもらったが、コロナとインフルエンザは陰性。まあ、年に数回あるいつもの体調不良なのだが、快癒するまでの時間が年を重ねるとともに長くなっている。
2023/12/05(火)
【ミステリ小説】『ちぎれた鎖と光の切れ端』荒木あかね
第1部では閉ざされた孤島で、第2部では日常の中で、いずれも遺体の第一発見者が次に殺され、その連鎖が続く不可思議な連続殺人が発生する。というあらすじだけだと、きわめて図式的な構造であり、いかにも本格ミステリっぽい話だと予想される。だが実際に読むと、あまりそのような印象は受けない。実際にはご都合主義や無理筋が多く、かなり作りものめいた話なのだが、視点人物の心理描写に文字数を使い人間関係の描写に重きを置くことで、さも情緒性を含んだ社会派ミステリかのように装飾している。そのテクニックこそが著者の手腕であり、本格ミステリなる零細ジャンルが生き残るための道標にもなっている。
2023/12/06(水)
夜7時ごろ、頭痛で寝ていたら、とある電話。来年1月某日、人生でもっとも重要な日になるかもしれない予定が入る。今から準備期間に突入。
2023/12/07(木)
【邦画アニメ新作】『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』
丸の内TOEI・スクリーン2(地下のほう)で鑑賞。かなり話題の作品で満席になる映画館も多いと聞いていたので、穴場にした。いや、丸の内TOEIを穴場と言うのは失礼極まりないが。
終戦直後の隔離された小さな村を舞台にして、明らかに角川映画『犬神家の一族』を意識した導入から始まり、やがて発覚する村の狂った因習を余所者が根こそぎぶち壊していくバトルものへと変容していく。ただしそんな村の因習が戦後日本の発展に欠かせない必要悪であるとし、大義のために個人は犠牲となっても仕方ないのかという普遍的な問いかけを含んでいる。まあ、逡巡することなくノーを突きつけて個を優先するのは今どきのトレンド通りだが(すでにほうぼうで指摘されているが、『天気の子』パターンですね)。人間とそれ以外の存在が非対称の関係で共存している構図や、戦争の記憶が鮮明に反映されるなど、水木しげるによる『ゲゲゲの鬼太郎』の持っていた本来の意味を現代に甦らせることに成功している。
2023/12/08(金)
【舞台】『ジャンヌ・ダルク』@東京建物ブリリア・ホール
たぶん10年ぶりくらいに、ちゃんとした演劇を鑑賞した。佐藤賢一が原案を務め、清原伽耶がジャンヌ・ダルクを、小関裕太がシャルル7性を演じる。1階S席の端のほうで鑑賞した。近かった。
合計100名とかいるらしい演者が舞台上を縦横無尽に動き回るのは単純に圧巻だし、兵士たちが座席通路から舞台へと突撃するところでは床の振動が直に伝わってくる。客席を含めて場の空気を支配し、観客もその中の一部として取り込んでいく。今やあらゆるエンタメのジャンルにおいて必須とされる”体験性”だが、やはり演劇はこの点において断トツの強みを持っている。とまあ、超久しぶりの演劇鑑賞なので、こういうふんわりとした感想しか言えず申しわけないです。演劇に関する知識や体験が乏しいため、他の作品との比較ができず、実際の脚本とか演出とかに関して何も言うことができない。来年は、もっと演劇にも足を運ぶつもり。
我が家・坪倉由幸がジャンヌの従者という重要な役を演じており、出番もセリフも多く、戦いの場面では何度も見せ場があった。完全に、若手を支える中堅の役者だった。
【お笑いライブ】爆笑問題withタイタンシネマライブ
『ジャンヌ・ダルク』帰りにフランス史つながりで『ナポレオン』でも観ようかと思ってTOHOシネマズに寄ったら今日は「タイタンシネマライブ」だと気づいて、迷わずチケット購入。最近、摂取するエンタメのジャンルが分散していて、映画に費やすリソースが減ってきている。説明すると、爆笑問題の事務所・タイタンが主催する2カ月に1度のお笑いライブで、全国の映画館で生配信されている。
特別ゲスト・西川きよしの漫談というかほぼ思い出話は名人芸だし、若手ゲストのアイデンティティもファイヤーサンダーもさすがだった。タイタン所属ではネコニスズ、春とヒコーキが個人的に良かった。あと、脳みそ夫である。「ライト兄弟のライバルのレフト姉妹」って設定だけでぶっ飛んでいるし、空を飛ぼうとするライト兄弟に対抗して穴を掘り続けるという意味のわからなさ。完全に独自の世界を作り出していて、なんかすごかった。
そして爆笑問題。漫才の前半は翌週に放送された『THE MANZAI2023』で披露したネタと同じ(「新しい学校のリーダーズが話題なんだって」「ああ、林真理子ね」のセンスの素晴らしさ)だが、後半のただ同じことを叫びまくる太田光は完成度とか度外視で、常軌を逸したトランス状態に陥っており、なぜかそれがグルーヴ感を産み出していた。TVはともかく舞台の爆笑問題は、もはやナイツがネタにするような「浅草東洋館のベテラン師匠」と同じくくりなのだろう。
2023/12/09(土)
購入したT-falの毛玉取りクリーナーが超楽しい。時間を忘れて毛玉を取り続けている。
2023/12/10(日)
【クイズイベント】「mQ」
クイズのオープン大会(って呼び方で今も合ってます?)に、20年以上ぶりに参加してみた。「自分のいる業界では常識の問題」を広く募集して、そこから選ばれた、普段のクイズ大会では出されないような問題を出題する。参加者全員がボード(筆記)で回答し、自信がある人は椅子から立ち上がる(立ち上がって正解だとボーナス得点がもらえる)。
殿堂入り(説明が大変なので詳細は略すが、正解者の数が少ないと、さらにボーナス得点が入るみたいなルール)に一度なったので満足。別のときに立ち上がっていれば、もうひとつ殿堂入りしてたのが、少しだけ悔やまれる。
いや、むしろ反省すべきは、5問を投稿したのだが2問しか採用されなかったことか。今回は、1問を除いて「解らなくても推測や直感で正解できるかもしれない問題」にしてみたのだけれど。
おそらく「mQ」は特殊な事例なのでクイズ大会の実情をどれだけ表しているのか判断できないのだが、いいなと思ったのは、参加者にコミュニケーション能力が求められないところ。という言い方だと誤解を招きがちだが、他の参加者との交流を強制されないので、ひとりでいても疎外感を覚えないのである。どうやら気心の知れた人たちも集まっているようだが、クイズそれ自体は個人による孤独な戦いゆえからか、あまり内輪で盛り上がるような空気にはならない。出題中の私語は御法度なのも理由のひとつかも。ともあれ、ただクイズに答えていればいいのは気楽。
思い返せば、20年前に何度か参加してみたオープン大会も、ひとりでいることに抵抗は無かった。門外漢なので滅多なことは言えないが、大会にひとりで参加しても疎外感を覚えないというのは、クイズ人口を増やすためのひとつのアピールポイントにはなるかもしれないと、ふと思った。
※ 「匿名はてな」に投稿されて話題になったクイズバー体験記よりも前に書いた文章です。趣旨はまったく異なるのですが、念のための注記。