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【短文レビュー/邦画新作】『はたらく細胞』武内英樹監督・・・究極の擬人化、究極の物語化、ここにあり
トップ画像:(C)清水茜/講談社 (C)原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社 (C)2024映画「はたらく細胞」製作委員会
監督:武内英樹/脚本:徳永友一/原作:清水茜、原田重光、初嘉屋一生
配給:ワーナー・ブラザース映画/上映時間:109分/公開:2024年12月13日
出演:永野芽郁、佐藤健、芦田愛菜、山本耕史、仲里依紗、松本若菜、染谷将太、板垣李光人、加藤諒、加藤清史郎、マイカ・ピュ、深田恭子、片岡愛之助、新納慎也、小沢真珠、Fukase、阿部サダヲ、塚本高史、一ノ瀬ワタル、DJ KOO
これはすごい。きわめて虚構的にデザインされた空間で、きわめてマンガ的に誇張されたキャラクター達による、きわめて感傷的に描かれるエピソードとアクションは、人体の中で起きている単なる化学的な事象なのである。本来そこには思想も感情も存在しないのだが、想像力がフル回転することで、インフルエンザも鼻水も便意もエモーションを含んだ物語へと変換されていく。さらには、「だって事実だから仕方ないじゃん」という前提のもとで進む壮絶な展開と後味の良くないエピローグにおいて、この原作漫画にひとつだけ感じていた欺瞞への実直な回答も行われていた。究極の擬人化、究極の物語化、ここにあり。