見出し画像

【短文レビュー/邦画新作】『ルート29』森井勇佑監督・・・表層を安易なシュールっぽさで過剰に覆うのは逃げの一手であろう

トップ画像:(C)2024「ルート29」製作委員会

監督&脚本:森井勇佑/原作:中尾太一
配給:東京テアトル、リトルモア/上映時間:120分/公開:2024年11月8日
出演:綾瀬はるか、大沢一菜、伊佐山ひろ子、高良健吾、原田琥之佑、大西力、松浦伸也、河井青葉、渡辺美佐子、市川実日子

路地裏でタバコを吸う小学生や道端に等間隔で座っているお婆さんたちをはじめ、表層を安易なシュールっぽさで過剰に覆ってごまかしている感は否めない。社会生活困難な女が児童を連れ回す話の重くて嫌な部分を、場当たり的な虚構性で取り繕って軽く見せているのは、やはり逃げの姿勢であろう(あえての棒読みセリフもまた、同様に逃げの一手だ)。固定カメラによる引きの画にある、西洋絵画的な構図や明暗の完成度には、多少は惹き込まれるが。一瞬だけ、寺山修司っぽいなと感じたのは事実。本当に、ほんの一瞬だけ。

いいなと思ったら応援しよう!