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「オツトメしましょ!」設定資料①


はじめに

みなさん、こんにちは!
八神夜宵です!

さて、毎度おなじみ、「設定資料」でございます!
登場人物や、一般的でない語句、その他背景の部分について、皆さんの想像力の助けになれば、と考えています。

解説はしていますが、これはあくまで「私の想像力での」ものなので、皆さんがそれぞれに、文章から脳内で映像化されるイメージがあれば、そちらが正解ですからね!

なので、「設定」にあまり囚われず、みなさんそれぞれの「オツトメしましょ!」を楽しんで頂きたい、と思います。

それでは、今回もよろしくお願いします!

登場人物

湯浅由乃(ゆあさ よしの)

本作主人公 21歳 大学生、盗賊。作中で「笹鳴」の異名を持つ。
光陽館大学の3年生で、考古学・人文学を学びながら、埋もれた「考古物」を盗んで世に出す活動を続けている。

「泥棒一族」の家系に生まれ、本人もまた、泥棒である。
大学で勉学を共にする上椙千英と出会い、活動の幅を広げて行くが・・・。

愛車はミニクーパー。

上椙千英(うえすぎ ちえ)

本作主人公 21歳 大学生→盗賊になる。作中で「手長」の異名を授かる
由乃と同じ光陽館大学の3年生。極端な人見知り、上がり症で、由乃とは全く逆な意味で、「優秀だが浮いた存在」となっていた。

由乃と出会い、それまでと真逆の人生を歩み始めることになる。
工学博士を父に持ち、機械に詳しく、優秀なハッカーでもある。

愛車はDトラッカーカスタム→「隠者」

湯浅権蔵(ゆあさ ごんぞう)

由乃の祖父 80歳 「手長」の異名を持つ。
現在は現役を引退して盆栽いじりの毎日。
業界では「生きる伝説」として語り継がれており、政財界、ヤクザ、芸能界から角界まで、幅広い交友関係を築き上げている。

湯浅さと(ゆあさ さと)

由乃の祖母 故人 「目打」の異名を持つ。
鍵開けの名人だったが、病没している。享年68歳

湯浅克仁(ゆあさ かつひと)

由乃の父 55歳 「五代目文吾」の異名(襲名前は「磯鷲」)を持つ。
現在は手下とともに長期遠征中。

湯浅綾子(ゆあさ あやこ)

由乃の母 46歳 料亭「尾曾松」おかみ(経営者) 
隠れた名店として政財界に常連の多い割烹料亭を切り盛りしている。
湯浅家で唯一、完全に堅気の人。

湯浅秀仁(ゆあさ ひでひと)

由乃の叔父、権蔵の次男、克仁の弟 51歳 「八角鷹」(はちくま)の異名を持つ。
陸上幕僚監部勤務。

笹原弥生(ささはら やよい)

秀仁の妻(未入籍)、晶仁の母、故人 
広域暴力団近江会笹原組組長の一人娘。父が秀仁暗殺のために放ったヒットマンから秀仁を庇って死亡。その後、笹原組は謎の集団により襲撃を受けて組長は死去、組織は事実上壊滅した。享年31歳。

湯浅晶仁(ゆあさ あきひと)

由乃の従姉弟、権蔵の孫、克仁の甥、秀仁の長男 14歳
父が長期海外出張の多い仕事のため、幼少期から由乃の実家で、由乃の弟のようにして養育されている。

湯浅聖(ゆあさ ひじり)

由乃の叔母、権蔵の長女、克仁・秀仁の妹 47歳 「雨鷽」(あまうそ)の異名を持つ「人たらし」の名人。MITから国防高等研究計画局(DARPA)へ入局した才媛。特別技術研究室室長。由乃とは特に仲が良い。
由乃に最新技術や装備を提供し、「生の使い心地」を聞き取っている。

一ノ瀬伊十郎(いちのせ いじゅうろう)

「組合」首都圏第三支部支部長 70歳 「鎹」の異名を持つ、権蔵の元手下。権蔵の腹心として、手長一味の差配をした後、その折衝能力を買われ、組合の運営本部へ引き抜かれた。

一ノ瀬絹江(いちのせ きぬえ)

伊十郎の妻 66歳 元看護士
伊十郎がケガで入院した際、一目惚れして口説き落とした恋女房。深川生まれらしい気風の良さで、あっという間に手下の人心掌握をしてしまい、権蔵も一目置いている。特に修行中の若者から母と慕われる存在。

ジャニス

ドイツシェパード 8か月 メス
由乃と千英の飼い犬。修行を終えた二人がドイツ語の教授宅で生まれた子犬の一頭を引き取ったもの。言うまでもないが、とてもかわいい。
おすわり修得済み、待て修行中。

用語解説

お盗めおつとめ

盗賊業界で、実際に盗みに入ることを指す、隠語。
同じように、盗賊のことを「盗め人つとめにん」と呼ぶ。

ここで言う「お盗め」とは、後述の「盗めの三箇条」をきちんと守り、十分な下調べと入念な計画の元に行われる盗みのことを指し、素人の偶発的な盗みや、組合に属さない「もぐり」の犯行は含まれない。

異名(通り名、二つ名)

盗賊が独り立ちした時に与えられる苗字のようなもの。所属やその人の人となりを端的に表すものが多い。ある程度の年季が入ると「相方」や「手下」「仲間」を集めて一家名乗りをする場合があるが、その時の「一家名」ともなる。稀に、自然発生的に呼ばれた通り名が、そのまま継続使用されることもある。

①得意にしている得物や、行動、その盗み具合から連想されるものが通り名 となる場合
EX 軽業や体術が得意→「手長」(猿の別名)
  鍵開けが得意で、獲物に目打を使用→「目打」(裁縫道具)
  人の仲立ちや交渉事が得意→「鎹」→大工道具

②家系で同一要素を名乗る場合
EX 湯浅家は「鳥」の名前を異名にしている。
  克仁→元「磯鷲」(いそわし→トビ)
  秀仁→「八角鷹」(はちくま→蜂を主食とする猛禽類)
  由乃→「笹鳴」(ささなき→幼く、鳴き方を知らないウグイス)
  聖→「雨鷽」(うそ→アトリの仲間、見た目も鳴き声も美しい)
  ※ 優れた容貌と、人心操作を得意とする聖の技術とも合致した、①の 要素も取り入れた通り名でもある   

 権蔵については、その動き、盗みぶりがまるで猿のようであったことから仲間内で自然発生した「手長」をそのまま使用して、名跡にまで高めた。
 そのため、「鳥」の異名は持っていない。また、千英は「小鴉」を名乗る予定であった。

③名跡を継ぐ場合
EX 
  克仁「五代目文吾」→江戸城の御金蔵を破ったという伝説の先祖、「文吾郎」にあやかってつけられた大名跡。
  千英「二代目手長」→権蔵にあやかってつけられた新名跡と言える

最初に「組合」を訪れた際、伊十郎が由乃を「湯浅の人」、千英を「上椙の人」と呼んでいたのは、二人ともまだ異名を持っていなかったから。権蔵の傘寿の祝いで異名が公式に披露され、今後は「笹鳴の由乃」「手長の千英」と呼ばれることになる。また、由乃の一派を指す場合には「笹鳴一家」となった。なので、千英は「笹鳴の人」でもある。

組合

盗賊同士の互助会または組合、ギルドのようなものである。
世界中に支部があり、影で巨大なネットワークを構成している。
ただし、「一つの団体」というわけではなく、国別、地域別に主たる組織が分かれており、イタリアではマフィア、アメリカではギャング、中国では幇など、違う母体を持っている組織同士が協力の上で運営しているため、小競り合いも当然のように起こる。

日本では、「雲霧仁左衛門(日本左衛門)」が、江戸時代に各地の香具師の元締めや大盗賊をまとめて作り上げた組織が元となっている。

組合員の福利厚生から、盗品の売買や盗め人の仲介、様々な小競り合いの調停、「掟破り」の追跡と懲罰など、多岐に渡る有料・無料サービスを提供している。

伊十郎は「首都圏第三支部」の支部長であり、300人の配下を抱えていると作中で表現されているが、組合の各種サービスを提供する人数(実質的な伊十郎の配下)はそのうちの100名程度で、残りは修行中の者であったり、独り働きの盗め人を便宜的に自分の配下としているものである。

首都圏第一支部は水尾天皇の御代から皇居を固める隠密グループとなっており、首都圏第二支部が永田町・官邸近辺の専属であることから、第三支部が実質的な日本のトップ組織と位置付けされている。

「盗めの三箇条」

湯浅家が頑なに守り続ける絶対的家訓。
「曲がりなりにも、人様の物に手を付ける稼業を生業にしている以上、人として絶対に犯してはならない境界」を明文化したもの。

曰く、
一、盗まれて難儀する者から、盗んではいけない
一、盗めをするときは、人を殺傷してはならない
一、女を手籠めにしてはいけない
の三箇条から成る。

これを破って行う盗みを「畜生働き」と言って蔑み、苛烈な制裁を持ってこれに報いてきた過去がある。

湯浅家では、江戸の昔からこの三箇条を「金科玉条」として守り抜き、盗賊界でも「本格」とされ、その地位を不動の物にしてきた。

組合が定めた、組合員として守るべき規則である。
「掠め取り」や「密告」、その他、組合に不利益となる行動、言動に対しては、明確な罰則があり、専門の追跡組織「委員会」がこれを追い、違反に応じた罰則を執行する。

納め金

組合に加入する時に求められる「年会費」である。
その人間の格や仕事ぶりに応じて額が変わり、決定は支部長が行う。
金ではなく、品物や情報、組合に対する奉仕であることもある。

相方・手下あいかた・てか

「相方」は、「五分」と言われる対等な間柄。相方同士の取り決めで、報酬や仕事内容は自由に設定できるが、主従関係とは違うため、不服があれば申し出ることも可能だし、袂を分かつこともあり得る。

「手下」は、いわゆる「子分」であり、絶対的な主従関係がある。主人の庇護下に置かれるが、報酬や仕事の内容について不服を漏らすことはできない。


メカニック解説

ミニクーパー・クラブマンJCW(John cooper works)

由乃の愛車。
ミニクーパー・クラブマンのエンジンや足回りをチューンナップして、動力性能を上げたもの。

由乃はさらに、組合傘下のモーターショップ「斎十さいとお商会」の独自チューンを受けており、もう一段上の動力性能と、「稼業」に必要な様々なギミックを搭載している。

エネルジカ・エッセエッセ9+RSR 「隠者」


千英の愛車(となる)。
イタリア製の電動バイクである。

エッセエッセ9+RSをベースに、モーター出力を抑え、静粛性を高めるチューンを施し、千英の体格に合わせて小型化が図られたため、もはや元の形はわからなくなってしまった。

カワサキ推しの千英が、その静粛性とカワサキの名車、「ニンジャ」に掛けて「隠者」(インジャ)と名付けた。実は、外見をこっそりニンジャに寄せてある。

おわりに

ここまでお読みになっていただいた皆様、ありがとうございました。
聞き慣れない語句もありまして、読みにくいこともあったかと思いますが、本編と併せて、よろしくお願い致します。


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