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他人の金で食う仙台牛

今日は、とある出版社のお呼ばれで仙台でも屈指の「黒毛和牛」のお店へ連れて行ってもらいました。

なんせ、面と向かっての打ち合わせは3年振りということで、担当者だけでなく、その上の上の上くらいの方も同席で、「3年分の埋め合わせ」ということらしい。
なんとも粋な趣向!

お店は完全個室で、隅から隅まで「和」のテイスト。
さすが、和牛専門店、「和」には一家言ありそうな雰囲気。

こういうお店に慣れない私は、もうその佇まいだけでもオドオドしてしまうのです。

そんな中、上座につかされ、さてメニューを・・・
と思ったら、雲の上の人が一言、
「今日はお任せ下さい」
うーん、そこに痺れる! 憧れるぅ!!

いつもの担当なら不安でしかない一言も、見るからに高価そうなスーツを着て現れたこの人から発せられたなら、まさに金言。大安心。

メニューを開く手に光る、プロ野球の監督が付けてるような時計を見て、
「おや、もしかしてウブロですか! お目が高い!」
くらいのおべんちゃらも飛び出す始末。

注文を取りにくる方も、見るからに職人っぽい感じの50代くらいの男性で、「今日センボンバラある? ヒウチは?」などの暗号めいたやり取りが交わされ、およそ5分の注文が終了。

その間、手持無沙汰の私は、キョロキョロ辺りを見回したり、調味料の中身を確認したり、とにかく落ち着かない。

それから10分ほど、今までのことやこれからのことについて軽く話をしていると、先ほどの男性が現れ「準備ができた」とのこと。
お、とうとう来ますか! 

と思ったら、ただの飾りだと思っていた障子がスルスルと開き、目の前に鉄板が現れました。なんと、目の前で調理をしてくれるようなのです。
うん、こういうの見たことある。YouTubeで。

鉄板の奥には板前ぽい人とそのお弟子さんみたいな人がおり、どでかいお肉を説明しながら切り分けて、ジュージュー焼いていきます。
私は見逃しませんでした。鉄板に引いた脂身は、先ほど肉塊から切り分けた肉の一部ですね?

そこ、それだけの役割ですか?
それだけでも美味しそうなんですが。

そこから先は、怒涛の牛肉ラッシュ。
見たことも聞いたこともない部位や、聞いたことあるミスジとかザブトンとか、とどめはシャトーブリアン!

自分が口にしている物が、肉とは信じられないくらいの勢いで、口の中でそれこそ「ほどけて」いくのです。
ほどけるたびに広がるうま味と甘味。
牛肉臭さなんか、みじんも感じません。

こんなにおいしい肉を食べたのは、生まれて初めて。
それも、他人のお金で。
タダメシってだけでも何食べても美味しく感じるのに。
黒毛和牛。

また、雲の上の人の褒め殺しがえげつない。
普通、これくらいの御馳走したら、「こんだけしてるんだから次もがんばれよ」くらいの雰囲気が出るもんですよ、人間なら。

そんな雰囲気、全然ない!
ただもう、こちらを楽しませよう、満足させよう、もてなそう、とするばかりで、書いた本人すら忘れているような表現とかまで褒めてくれたり、なんかもう、恐縮しきりでした。

やっぱり、人の上に立つ人っていうか、人を統率するのに長けてる人ってのは違うもんなんですねぇ・・・。
いろんな意味で「すげぇ」体験をさせてもらった気がします。

大満足の二時間が過ぎて、無事におひらきとなりましたが、一人になってあらためて、強く思いました。

「今度は自分の金で食べにくる」
そしていつか
「誰かに御馳走する」

果たしてそんな日が来るのだろうか。
テンション爆発の後に訪れる、静かな闘志が、今めらめらと燃え上がる!

というわけで、今夜はこの辺で。
じゃわっとさんばばん!



#黒毛和牛
#仙台牛
#A5


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