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忘年怪異 その2(410字の小説)#ボケ学会



それは、昨日の出来事。
私は、最近知りあった彼に誘われ
ある会合に参加した。
そこは普通のクラブで何ら怪しくない。
そこに居た人達と、酒を酌み交わし、
楽しく会話をしていた。

初めての人達だったが、何故か心を許した。
自分の身の上話や、愚痴をこぼす人も居た。
私も、酔ってしまったのか
今年のあった辛かった事を
愚痴っていたと思う。

今朝目覚めた時、不思議な怪異に襲われる。
今年の出来事の記憶が全くない。


不思議に感じ彼に質問したら、
この様な答えが返ってきた。
「あの会合は、忘年会です。
本当に今年の出来事を忘れてしまう忘年会です。
私たちはあの会合を『忘年怪異』
と、呼んでいます。」
「そうか、嫌な事を忘れる忘年会か!」

「そう、貴方が今年起こした殺人も
昨日話してくれた事で
貴方は忘れる事ができたでしょ。
良かったですね」

「えっ、そんな事を私は言ったのか?」

「はい、貴方は話していました」
「でも、貴方から聞いて僕は認識したよ。
せっかく忘れていたのに!」

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