
(続)恋猫 (中途半端で終わった小説の続き)#ボケ学会(830字)
住民からの報告で異臭のするアパートを
捜索する警官。
そのアパートは木造の二階建てで
昭和の香りがする古びた物だ。
階段を上って、部屋の前に立つと
鼻に突き刺さる様な異様な匂いがする。
「鍵を開けてください」
と、警官が大家の人に促す。
部屋の扉が開くと、
その異臭は警官の体全体を包むかの
様に襲ってくる。
思わず、鼻を押さえるが、無駄な抵抗であった。
薄暗い、部屋の中から僅かに見えてくるものは、
動かぬ小さな動物。
恐る恐る、部屋に入る大家と警官。
部屋は8畳一間で、その中に家財道具が置いてある。
小さな動物は、七匹の猫の死骸であった。
「何で、猫がこの部屋で死んでいるんだ?」
と、アパートの大家に質問する警官。
「ここの住人が飼っていたんだと思います。」
「その住人はどこに行ったんだ?」
「最近、見かけないのです。猫を置いて旅にでも行ったのでしょうか?」
と、不安そうに言う大家。
「異臭はこの猫か!保健所に言って片付けさせるよ」
と、言う言葉を大家は聞いていない。
体を震わせ、目が飛んでいる。
「どうしたんですか?大家さん」
「あぁ〜〜〜れを見てくくくじゃさい」
と、指を指す大家の顔が蒼白で声が震えている。
まるで、お化けでも見た様な仕草であるが、
臭さを抑える為に、鼻を摘んで話しているから
この様な声になるのか?
その様に思いながら警官は指の指された方向を見た。
目に飛び込んで来た物は、ガラスケースに入っている
腐乱した死体。
警官もこの様な事件に遭遇する事は余り無く、
驚きの声を上げる
「何じゃっこじゃ。なななんで、
こんなちょころで、おとろがちんでんの。」
と、鼻を押さえて話すので聞き取り辛い。
「ばやく、かんちぃきに連絡ちゅるよ」
と、言って警官は鼻を押えてながら外に飛び出した。
鑑識の結果。
男は酸欠での窒息死。
猫は餓死との事であった。
男はガラスケースに入ったものも、内側からは、
ガラスケースの扉を開ける事が出来ない事を
知らなかったみたいだ。
何故、男がガラスケースに入ったのか?
永遠の謎となる事件であった。