すいせん饅頭[#ボケ学会](1分で読める小説)➕追伸➕ツッコミ
「ねえ君、すいせん饅頭って知っているかい」
と、校長先生に突然聞かれた。
「校長先生、私が校長先生の知らない事を
知っているわけがないでしょ。」
と、自慢する様に知らないと告げた。
「孫が、『お土産にすいせん饅頭を買って来て』
って、ねだるんだよ。僕は軽く返事したけど
どんなものか分からないんだ。」
と、困った様子。
「校長先生、それは、もみじ饅頭と同じで
水仙の形をした饅頭です。きっとそうです。
お菓子さんに売っていますよ。」
「そうか、じゃお菓子屋さんに行って来るよ。」
校長先生は、急ぐ様に校舎を後にした。
お菓子屋さんに着くなり校長先生は、
「すいせん饅頭ください」
と、店員に聞くが、店員は首を傾げる。
…すいせん饅頭って何?…
と、思いつつも、「知らない」と言う事も出来ずに
見栄を張る。
「知ってますよ。饅頭を水洗いするのです。」
と、平然と言う。
「そんな事して饅頭が美味しいくなるのですか」
と、聞く校長先生
「美味しいですよ。夏はよく食べますよ」
と、自信満々のお菓子屋さんの店員。
「ここのお店にありますか?」
「このお店には売ってないです。
これは、お客様が作る饅頭です。
饅頭を買って、水洗いするのです。
そして、冷凍する。そう言うふうにお客様が作るのです」
と、知ったかぶりの店員。
何も知らない校長先生は、言われるまま
饅頭を買い自宅に帰る。
そして校長先生は、饅頭を水洗いし冷凍し孫に
「お土産」と言って手渡す。
孫の喜ぶ顔が見えるはずだ!
と、思いながら孫の顔を見る。
嬉しいそうに箱を開ける孫。
だが、孫は怒り泣き出す。
「こんな物、すいせん饅頭じゃない」
と、
校長先生は、孫に怒られ
「すいません」と
何度も孫に謝る校長先生。
「すいません饅頭」の出来上がりであった。
追伸
水洗饅頭とは、杯に片栗粉をお湯で溶かし、
その中にこし餡を入れて、水で流し冷やして食べる
饅頭の事です。
夏になると、こちらの場所では売り出される
お菓子です。
決して、饅頭を水で洗う物では無いです。
ツッコミ
「そんな事 知っているよ!」