(続)三つ子の魂百までも13 1 ボーン 2022年10月8日 04:02 13会議も無事終わり、私達三つ子の兄妹で食事する事になった。直美さんと伊東は帰って行ったが、裕美さんは僕達の中に参加した。皆で食事した後、カラオケにも行った。裕美さんは歌が上手い。美乃も上手い。僕と修はイマイチである。同じDNAを持つ者同士だ、当然と言える。僕達2人は聞き役であり、盛り上げ役だった。修は、この様な場所には余り来ないと言っていた。でも、楽しそうだった。修とは、双生児でありながら、何故これ程まで違うのだろうか?育った環境の差であろうか?それとも、同じDNAであっても、元々違うものなのか?修は、沈着冷静、頭脳は優秀。几帳面だし、約束も守る。時間に対してもルーズでは無い。残念な事に僕には、修の様な所は余りない。僕が優っているのは、体力だけだ。修と僕と比較すると、美乃がどちらと懇意にするか判る様な気がする。その事を考えた時、僕は凄い劣等感に襲われた。自分で自分が嫌いに思えた。でも、修と似ている所もある。一つの事に集中する事。女性に対してシャイな所。それと、女性に対して一途な所だ。と、言っても一途に想う女性は二人とも持っては居ない。モテない所も似ていると言える。修は僕に向かってポツリと言った。「公ちゃんが羨ましい」と。カラオケの音で聞こえ難かったが、ハッキリと言った。「公ちゃんは、友達も多いし、皆とこの様に仲良くしてるんだね」と、本当に羨ましいそうに言った。だが、僕はその言葉に対して何も返答する気持ちになれなかった。修の今までの人生はどの様なものだったのだろうか?同じお腹から産まれたのに、それぞれの養父母に育てられ、違う人生を歩んでいる。修だけでは無い、美乃もそうである。私達が幸運だったのは、養父母に愛情を注がれ育ててもらった事だ。僕が明るく育ったのは、養父母のおかげの様な気がする。能天気なお母さんと、頼りないが僕を束縛しないお父さん。勉強する事を強要された事は一度も無かった。自由にさせてくれたし、僕の意見を尊重してくれていた。本当に楽しく、愉快に過ごさせてもらった。修の様に、お金持ちで豊かな暮らしでは無かったが、貧乏を感じた事は一度も無い。修の家は、お金持ちで裕福に想えるが、もし僕が修の養父母のところで、育ってられたら、どうなっていたのだろうか?修の養父は威厳があり、僕は反抗すらできない様に思う。僕は、修みたいに勉強しただろうか?その事を考えると感慨深い想いがした。自分で自分を嫌ってしまっては、今まで育ててくれた養父母に申し訳が立たないと、私は強く感じた。「そう私は、私だ!私らしく生きていこう。たとえそれが、人から観て幼稚な男であっても!自分に嘘をつく事も無く、誇りをもって生きていこう!」と、カラオケを聴きながら決意を固める僕であった。そんな事を考えながら、僕は新美浩市の事も考えていた。新美は、親を知らない。養父母も居ない。彼は、養護施設でどの様に育って行ったのか?どの様に育てられたのか?私達とは違う彼の境遇に、好奇心と複雑な気持ちが湧いてきた。新美浩市とは、どの様な人間か?新美浩市を知りたい!次の日、僕は伊東と一緒に新美の所属していた大学に足を運んだ。連続して投稿します。読んでくれると嬉しいです。 ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #小説 #自分 #連載小説 #カラオケ #笑い #コメディ #金持 #サイボーグ #解明 #養父母 1