(新々)三つ子の魂百までも 45
桜町さんを出迎えたのは、裕美さんと僕と代表で裕美さんの姉でもある直美さんだった。
挨拶もそこそこに、林田さんが亡くなった事を、桜町は全員に告げた。
そして、封筒の写真を裕美さんに差し出す。
その写真を観て、裕美さんは小刻みにブルブルと震え出した
「どうしたのですか?裕美さん」
心配になり僕は聞いた。
直美さんも心配したのか、裕美さんの側に来る。
「これは、怨霊よ。あの殺人鬼の怨霊よ。
あの地縛霊が怨霊になったのね。
こいつに林田さん、殺されたのね。
許せない。あの殺人鬼」
と、震えながら言った。
「これって、一年前のあのビルの壁ですか?」
と、僕は聞いた。
「あの怨霊がまだいるのよ。
私油断していたわ。単なる地縛霊かと思っていたの。・・・・。」
「矢張りそうでっしたか。あのビルの壁でしたか」
と、桜町は残念な想いであろうか、そして
「また、林田さんあのビルに行ったのですね。
真相を解明する為に・・・」
と、悔やむ様に云った。
「そうですね、・・・・あの時も林田さん
真相を解明したいと言ってましたね。
自らの手で、真相を解明しに行ったのですね。」
と、林田に感心しているのかの様に裕美は言った。
「と云う事は、あの都市伝説は事実だと云う事ですか?あのビルには怨霊が棲み近寄るものを殺すと云う事は現実にあると云う事ですか?」
桜町は結論を急いだ。
「そうかもしれない。林田さんは命を懸けてそれを証明したのですね。
証拠の写真も撮ってある。」
僕は、二人の話を聞きながら、
裕美さんが死ななくて本当に良かったと感じていた。
僕の見た夢は正夢になっていたかも知れないと
想うと背筋が寒くなった。
人間とは本当に身勝手な動物である。
自分に関心の無い人はどの様になっても、
それほどの悲しみは無いのが普通である。
でも、僕は林田さんを見直した。
初めは、無責任な男だと思っていたが、
真実を解明したい!
橋田君の要望に応えたい!と云う想いは強く
自ら危険な場所に行き、証拠の写真まで撮る。
その勇気に僕は脱帽であった。