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猫になった宇宙人3


猫になった宇宙人(3)

少女の名前は、夏川雅子。 14歳。中学二年生だ。
地球人の顔をどの様に判断するのかは知らないが整った顔立ちと言える。

我々M52星人は、姿を自在に変える事ができる為、綺麗とか醜いという区別は無いのだ。

その点地球人は一人一人の姿、形が違う。
生まれながらにして、綺麗な人とそうで無い人との差が出来る。
何か不平等の様に思えてならない。
本来ならば、生まれた時から格差ができる事など、あってはならないと考えるのは、私がM52星人だからであろうか?

私は少女を観察した。当然心の中も。
だが、何も伝わってこない。
何も思っては、いないのだ。
地球人は、意識せずして意識が出来る能力を有する人達なのか?
それとも、この少女だけの能力だろうか?
その様な事を考えている時に、少女に声をかけられた。

「お腹空かない?」
突然言われて戸惑ってしまった。
M52星では、食べ物は無いのだ。
全て自分の体で、栄養を作るから食べ物は必要としない。
当然、お腹の空いた感覚を経験した事が無い。

地球に来て猫となったからには、当然食べ物を食べないと生きていけない。
地球上では、私は自分の体で栄養を作る事は出来ないからだ。

私に与えらた物は、白い色の飲み物だった。

私にとって、口から物を取るいうのは初めて経験である。
舐めてみた。美味しい、食べ物とはこの様に美味しい物なのか!
 
少女も嬉しそうに、私を見ている。
「それ、牛乳って言うのよ。」

牛乳?私の頭のコンピュータが作動した。
牛の乳 猫が牛の乳を飲むのか?
と思っていると、少女も牛乳を飲んでいる。
人間も牛の乳を飲むのか?
人間の乳では無く、牛ですよ。
新たな発見であった。レポートに書ける。

少女が私を見て微笑んでいる。
私に惚れてるみたいに。
その時、少女の心を感じた。

(お母さん、この猫を飼っても良いって言うかな?
捨てて来いと言ったらどうしようか?絶対、嫌、
この猫、可哀想過ぎる。まだ子猫なのに、
でも、隠して置けない。どうしよう、どうした良いの?)

この少女は私の事を考えている。優しい人だ。
少女の母親とはどの様な人だろう?
少女と違って冷たい人なのかも知れない。
また、少女の心の声が聞こえた

(隠してはおけない。今日、お母さんに此の猫を飼う事を言おう。
ダメと言われても、絶対に此の猫を飼う。)

少女の想いは、私に伝わっている。

私達M52星人は心を読む事は出来るが、
自分に必要ではない情報は無視している。
地球人が、人混みの中で聞こえてくる全ての言葉に、関心を持たないのと同じ様に。

今は午前十時らしい。地球は一日24時間であると調べてきた。
ただ、1時間がM星のどれ位の長さか、今の所分からない。
実際に経験して見ないと何とも言えない。
これもレポートに書く必須のものだ。

母親が家に帰って来たみたいだ。

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