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かぐや姫の恋人(3分で読める小説)#ボケ学会


ある日、かぐや姫は恋に堕ちた。
多くの貴族の男達を袖にしたかぐや姫が
恋に堕ちたのだ。
「いったい、その男は誰?」
と、世間の人達の関心事となる。
今なら、芸能リポーターの「飯の種」だが
それは昔の事、誰もリポートしてくれない。
だが、親切な筆者(ボーン)が皆様の為に全容を明かす。

それは、神様のいたずらだろうか?
それとも運命の出会いか?

ある日、かぐや姫は貴族の伊集院静に誘われて
海水浴に来ていた。
浜辺に打ち寄せる波を見つめていた時
かぐや姫の目に飛び込んで来たのは、
一匹の大きな亀🐢であった。

それを、虐めている子供達。
その中には伊集院静もいる。
「何て大人気無い人!」
と、かぐや姫は怒りの気持ちを抱く。
その時、颯爽と現れたイケメン青年。
「君達、亀を虐めるのはやめなさい。
『触らぬ神に祟り無し』と言う言葉に似た言葉で
『触らぬ亀に立つ気無し』言うのを知らないのか!
この亀をいじめちゃダメだよ」
と、懐から金を出し子供達に与え亀を解放してもらう。
その光景を一部始終見ていたかぐや姫。
水着姿でそのイケメン男子にかけ寄り、
「貴方は素晴らしい殿方です。お名前は何とおっしゃるのでしょうか?」
と、我を忘れて聞くかぐや姫。

「私の名前は、浦島太朗と申します」
と、その美しい水着姿に反応したのか、触られてもいないのに、亀が蠢めく。
もう一匹の亀が言う。
「助けてくれたお礼に、浦島太朗さんを竜宮城に
お連れします」
と言うなりの浦島太朗を拉致するかの様に
背中に乗せて海の中に潜って行く。

それを見つめるかぐや姫。
かぐや姫の心はあのイケメン男子浦島太朗に
奪われてしまう。
「いったい、あの殿方はどちらに行かれたのかしら?」
と、思う日々を哀れに過ごすかぐや姫。
かぐや姫は、伊集院静に海に潜って彼を探し出すことを命ずるのであった。
伊集院静は非常に困ったが、
潜りの上手な男を見つけ出し、その男に
浦島太朗の捜査を依頼した。
そして、浦島太朗が居る場所は、竜宮城と言うことが判った。
「かぐや姫様、浦島太朗の行き先が判りました。
それは、海の中にある竜宮城です。」
と、伊集院静は自信を持って報告した
「私をその竜宮城に連れて行って」
無理を言うかぐや姫。
仕方ないので、潜水艦を伊集院静は何処からか調達したみたいだ。

潜水艦から見た、竜宮城は絵にも描けない美しさで
あった。
…その竜宮城にあの殿方はいらっしゃるのね…
との想いが湧き上がる。
勇んで、かぐや姫は潜水艦から降りて
竜宮城の中に無断で入って行く。
愛しさのあまり我を忘れてしまうかぐや姫。


そこで見た光景は、浦島太朗と乙姫の仲の良い姿だった。

「あら、どちらのご婦人でしょうか?」
と上から目線で聞く乙姫様。
その瞳には、勝ち誇る輝きと、冷酷さを漂わせている。

嫉妬の念が湧き起こるが、かぐや姫にはプライドが
あった。
多くの貴族の男達を袖にしたのだ。
ここで、取り乱してはいけない。
自制の心が働いた。
涙を心に秘めながら潜水艦に乗るかぐや姫。
かぐや姫には自負があった。それは、
…地球の男に飽きたところよ!…と、でもあの方だけは違う、
私にとってあの殿方は特別な人。

…私待つわ、いつまでも待つわ。
他の誰かに貴方が振られる日まで…
と、決意を固めるのであった。

そして、2か月が過ぎた頃、
かぐや姫に月からのお迎えが来るのだが、

かぐや姫は浦島太朗の想いから月には帰らなかった。
地球に居て、浦島太朗を待つと決めた信念は変わらない。
今も想い続ける、一途なかぐや姫。
いつしか、お爺さんもお婆さんも天に召されて行く。
かぐや姫は、生活が困難になり収入を得る為に、
家具屋で働いたかぐや姫。

そして、数年後、愛しい殿方と再会するのであった。

それは、浦島太朗が家具屋に客として訪れたのだ。
かぐや姫は一目見るなり、浦島太朗に抱きつく。
「貴方を待っていました。貴方と出会ったその日から
恋の花が咲いていました」
と、素直に告るかぐや姫。
慌てたのは、浦島太朗。
見知らぬ美女に抱きつかれたのだ。
持っていた玉手箱を落としてしまう。
白い霧が二人を包む。
霧の中の二人。
二人だけの世界。
見つめ合う二人。
だが二人は、・・・・。
白い霧が晴れ渡ると現れた光景は、
老婆と爺いが抱き合う不思議な姿。

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