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寒波が日本各地を襲う(1分で読める小説)#ボケ学会
「臨時ニュースです。」
と、突然ラジオから音楽が途絶え、
「寒波が日本各地を襲う模様です」
と、アナウンサーが興奮気味に伝えている。
「今年は暖冬って言っていたのに、寒波が来るみたいだね。」
と、僕は助手席に座る妻に言う。
「いつ、寒波が来るのかな?こんな暖かいのに」
と、さらに言うが、妻は答えてくれない。
静かなイビキを立てている。
二人でドライブしても、いつも妻は隣で眠るだけ。
暗い夜道を走るのは、あまり好きではない。
しかも、初めて通る田舎道。
対向車もほとんど無い、寂しい道を僕は不安を感じながら
車を走らせていた。
楽しい旅行の帰り道だが、
🎵往きは良い良い、帰りは怖い・・・
と言う歌詞があるが、嫌な歌だ。
快調に走ってはいるが、僕の心は荒んでいた。
前方に人影が見える。
しかも大勢の人がいる。
…怪しい、何故こんなに多くの人がいるんだ!
こんな夜中に、お祭りでもあるのか?…
と、不思議に感じながら、速度をゆるめ人影に近づく。
人影に近づくと、みんな子供の様に小さい。
…こんな夜中に集団下校か?…
と、ツッコミを入れたのも束の間。
僕の車の前に飛び出して来る子供達。
慌てて、ブレーキを踏み間一髪で止まる。
「危ないじゃ無いか!死ぬつもりか!」
と、大声をあげる間もなく、僕の車の周りが取り囲まれる。
「奴らは人間じゃ無い?!妖怪か?お化けか?」
と、子供達に向かって独り言を言う様に怒鳴ってみた。
「失礼ね。妖怪でもお化けでも無いわ。
私達は河童よ。今日本に来たばかりよ」
と、可愛い声で叱られた。
「貴方、さっきのニュース聞いていなかったの?」
と、突然妻が話出す。
「どうしたんだ!急に・・・」
と、僕は驚き妻の顔を見た。
「さっきのニュースで言っていたじゃ無い。
『河童が日本各地を襲う』って。
此処が日本各地の場所に当たったみたいよ」
と、呑気に言うが、この後僕たちはどうなるの?
助けて、神様!!!