(再掲載)私は誰⁉️正規版(もう一つの最終回)(妹の正体)
(もう一つの最終回)
それは、車に跳ねられた映像であった。
私は、交通事故に遭ったのだ。
目を開けると、可愛い妹の顔があった。
妹は私に抱きついて来た。
「お兄ちゃん、良かった。記憶が戻って本当に良かった。
私は、お兄ちゃんにずーっと疑われていたね。
本当に辛かったわ。悲しかった。
でも、一番苦しかったのは、お兄ちゃんだよ。
誰も信じる事が出来ないなんて、本当に辛いよね」
と言いながら、妹は泣きじゃくっていた。
「御免ね。ケイコを疑っていて。でも今の映像にケイコの顔がしっかりと分かったよ。子供頃に遊んでいたことも思い出したよ」
だが、一緒にお風呂に入った映像は残念な事に無かった。
私は不思議な感覚だった。
今までの自分とは全く違うのだ。
本来の自分に戻ったのかも知れないが、
記憶が復元された事は間違い無い。
私は無口な男だったと、会う人それぞれに言っていたが、
今の私は、無口では無さそうだ。
人の性格と言うものは、何で決まるのだろうか。
不思議な気持ちに襲われたが、自分を取り戻し、
むやみに人を疑う事が無くなった事だけでも
本当に良かったと思う。
今まで私の身の周りに起こった事は、
私の記憶の無い事による、
不信から始まっている。
そしてそれは、疑心暗鬼を生む。
最初から妹を信じ、両親を信じていれば、
これ程 苦しみ辛い想いもしなかった。
信じる事の大切さ、また難しさを本当に痛感した。
私は記憶を取り戻し、
何の問題も無く全て解決した。
今はアメリカで小山内教授と研究を重ね、
より良いマシンの改良に励んでいる。
これで正規版の完結としたい。
この物語は水原学が必要以上に人を警戒し、
一人相撲を取った様なものです。
元々何の事件も無く、水原学氏の思い込みであった。
読者の中には、
素人の小説はこれだから困る人騒がせ小説だ、
と思われた人もいらっしゃると思います。
この結末を踏まえて、もう一度読み返すならば、
別に不自然な事は無い様に思います。
疑いから入ると全て疑心暗鬼になってしまいます。
こんな結末は嫌だと言う読者には、
別の結末をご用意させて頂きます(パラレル版)
どちらを好むかは、読者次第です。
尚、学の記憶のサンプルは事故前に残された物なのに、
「何故車に跳ねられたと言う事故の記憶があるのか?」
と、疑問をもたれた方にお答えします。
脳に刺激を与えられた為に、
本来の記憶が蘇ったと思われますが、
本当の事は分かりません。
正規版 完