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一衣帯水の地のバレンタイン#青ブラ文学部➕追伸
彼女とは遠く離れていても、心はいつも側にいる。
そう、一衣帯水の地の如く離れてはいない。
扉を開ければ、そこに彼女は居る。
僕はその様にいつも想っている。
彼女は身体が弱くて、心も蝕まれている。
誰も頼る人もいない、寂しさを抱える女性。
彼女との出会いは三年前。
それはSNSの書き込みであった。
でも、出会い系のサイトでは無い。
ふとしたきっかけで、コメントと交わしあった。
お互いの顔も知らず、出会う事も無く、
コメントだけでお互いを知りあった。
ある日、彼女の夢を見た。
それは時空と時間を超えて、
青年と少女の出会いであった。
初めて出会う彼女であるのに、
僕は出会った時から彼女と解った。
彼女の顔はあどけなく、
白いカシミアのセーターが似合っていた。
僕は名前を思わず呼んでしまう。
「めぐちゃんなの?」
「うん。」
見つめ合うままに、僕は彼女を抱きしめる。
「会いたかったよ」
彼女は、小刻みに震えながら、僕に言った。
「今日、バレンタインだね。チョコ持ってきたよ」
「今日、バレンタイン?違うよ今日は9月28日だよ。」
すると彼女は悲しげに
「ううん、今日は私のバレンタイン。
告白の日なの。受け取ってこのチョコを」
と、差し出してくる。その瞳に大粒の涙が光る。
「ありがとう。」と、チョコを手にとる僕。
嬉しいそうに微笑み浮かべながら、彼女の姿は
フェードアウトの様に消えて行く。
その時、僕も夢から覚めた。
あまりにもリアルな夢、現実の様な夢。
夢の余韻が僕の身体を酔わせる。
…あれは何だったのか?…
ぼんやりする意識の中
何故か僕の手にチョコがある。
何でチョコが?
お酒に酔い潰れ、意識朦朧の僕の手に握られているのは
お猪口。
追伸
まさに妄想