君に届かない!(一分で読める小説)
命を宿す。
元気な君の胎動。
その胎動感じながら、喜びの日を待つ。
こんな私が母になるなんて!?
私の喜びは不安に変わる。
その不安を感じているのか、最近君の胎動を感じない。
「だらしないぞ!私
我が子が不安を感じているぞ!
しっかりして!」
と、叱咤激励を私にしながら、お腹をさする。
だけど、君は動かない。
どうしてなの何故動かないの?
前はあんなに動いていたのに!
私のお腹を蹴っていたのに!
不安に包まれ、私は病院に。
慎重に診察する医師。
医師の目に涙が、滲む。
それを涙を見て、私の不安が最高潮に達する。
「奥さん、貴女の赤ちゃんは・・・・・」
と、言葉を途切らす医師。
「赤ちゃんは、・・・何なのですか?」
と、恐る恐る聞く私。
「貴女の赤ちゃんは、もう亡くなっています。残念ですが・・」
信じられない言葉!
その言葉に私は地獄に堕とされる。
目に映るものは暗闇
頭の中には白い空間。
まだ見ぬ我が子!
何故死んでしまったの?
お母さんに会いたく無いの?
どんなに叫んでも、君には届かないの?
戻ってきてよ!お願いだから。
お母さんの元に戻っておいで!