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kimix
世界一ショボいタイムスリップ(1分で読める小説)#毎週ショートショートnote
僕は念願であった時計を買った。
かなり高価な物だが、直ぐに元は取れるはずだ。
ある雑貨店にこの時計を見つけた時、
僕は心を一瞬で奪われてしまう。
その時から僕はその時計の虜となってしまう。
その時計は「時間を止める事ができる時計」
そう、「ストップウオッチ」だ。
僕は、その時計が他の誰かに買われてしまわないかと
いつも恐怖を感じていた。
しかし、他の客はこのストップウオッチに関心を
示す事が無かったみたいで、私が購入するまで売れ残っていた。
本当に時間を止める事ができるのか?
定かでは無いが、この時計の説明書の代わりに
「時間を止める時計」と言う小説をくれた。
作家はボーンとなっているが、そんな作家は聞いた事も無い。
この本を読めば使い方が解るらしい。
そんな説明書なんかいらない。
僕は時間を止めて、ある事がしたい。
そう、銀行強盗だ。強盗と言うよりも盗みだ。
時間を止める事が出来たら、盗みも超簡単な事。
早速、狙いの銀行に入店した。
時間の止め方は、時計のダイヤルを回すだけ。
このストップウオッチは一度しか使えない。
何度も使うことは出来ない。
また長時間も使えない
止める時間は5分と決まっている。
5分もあれば余裕で盗むことは出来るはずだ。
いよいよ、決行。
全員マネキン人形の様に止まっている。
銀行の何処の場所に行けば金があるんだ?
金庫はあるが鍵が何処にあるのか判らない。
時間がどんどん過ぎて行く。
焦ってみたが、何も盗む事は出来なかった
僕は銀行の内部を、ただうろついただけで、
タイムアップしてしまう。
いったい僕は、何をしに銀行に来たんだ!
本当に時間は止めることは出来たが、
銀行の内部見ただけか!
あれほどの大金を支払ったのに、
銀行の中を、彷徨っただけか!
ショボーい。(≧∀≦)