蛇の願い#ボケ学会(1分で読める小説)
ある蛇が、
「蛇のままで一生を暮らすのは嫌だ。僕は龍になりたい。」
と、想い悩む日々を過ごしていた。
そんなある日、蛇はある女に遭遇した。
その女は、蛇の言葉が解る非常に稀な魔女であった。
「僕は龍になりたい。一生蛇のままで居るのは嫌だ」
と、普段の想いを魔女に告げる。
…龍だと?龍は実際には居ない動物だ。
どの様な姿なんだ?…
と、思い悩む魔女に龍の姿が浮かぶ。
…確か、あの生き物の名前は辰だったはずだが…
魔女には魔女のプライドがある。
「そんな生き物など知らない」とは言えない。
知ったかぶりの魔女が言う。
「何でそんな生き物になりたいのか?」
「だって、龍はカッコ良いいし空も飛べるし。」
…カッコ良くて空を飛べる生き物か?
もう少し聞いてみよう…
「その龍の姿だが、どんな姿をお望みかな?」
と、姿が判れば魔法も掛けやすい。
「どんな姿って、僕もはっきりは知らない」
と、蛇が言う。
…蛇の奴も龍を姿は知らないのか。だったら私の思う姿にすれば良いな。
でも、あの生き物は確か海の生き物だった様な気がする…
「では、この私があなたの願いを叶えてあげよう。」
と、蛇の姿を「タツノオトシゴ」に変えて、空に浮かべた。
「こんなんじゃないよ〜」
蛇の嘆きは、魔女には届かない。