退職給付会計概要
<はじめに.>
退職給付会計の根本的な考え方として、賃金後払説を採用している。これは、従業員に支払われる退職金は、その従業員の労働の対価として支払われる賃金の後払いであるという考え方である。より単純化して言ってしまえば、企業は従業員の賃金の一部を預かり(勤務費用)、それを運用(利息費用)して従業員の退職時に支払っている。これが退職金の制度である。
また退職給付会計の仕組みを極めて単純化して言ってしまえば、従業員に支払うために用意すべき退職金の金額(退職給付債務)から、現在会社で用意できている退職金用の金額(年金資産)の差分の予測額を求めることである。
退職給付債務は、期首退職給付債務額に従業員の賃金(勤務費用)と、その累計額の運用益(利息費用)を加算し、そこから従業員に支払った退職一時金を引くことで求められる。
年金資産は、既に保有している額(期首年金資産)に、資産運用によって得られた収益(期待運用収益)と、会社が年金資産の元本を増やすために支払った額(年金掛金拠出)を加算することで求められる。
上記計算結果によって算出された退職給付債務から年金資産の額を引いた数字を「退職給付引当金」として企業は貸借対照表に計上している。また当期において発生した退職給付の不足分を「退職給付費用」として損益計算書に費用計上している。
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