投資信託の選び方と人気の投資信託シミュレーション
筆者はリスクとリターンのバランスが取れているものとして預金や個別株投資よりも、初心者にはまず投資信託をおすすめします。
ただし投資信託ならば無条件になんでも良いわけではありません。当然ですが損をする確率が低いものを選ぶべきです。そのためにまず考えることは投資信託という商品自体の性能です。見るべき性能は3つあります。
〇投資信託で見るべきポイント
① 運用資金額の大きさ
プロの立場からすれば資金が多ければその分柔軟な運用ができること、そしてその分出資者(お金を出した人)に運用益を還元しやすくできることが理由です。またその他の理由として、あまりに運用資金が少ない投資信託は、途中で廃止になる恐れがあることから重要になってきます。
② 運用手数料の安さ
投資信託は持っているだけで運用に関わる人に対する対価が掛かります(信託報酬)。ですからその対価は安いに越したことはないということです。
③ 購入手数料の安さ
最近はノーロード、つまり購入手数料がかからない商品が多いので、特別な理由が無いのにわざわざ手数料がかかる商品を買う必要はないかと思います。
この3点は大前提となります。
そこで考えた時に、銀行や証券会社が店頭などでおすすめしている投資信託は手数料が高く、これらの条件を満たしていない場合が多いです。投資信託を購入する場合は銀行などを頼らずにネット上など一人で購入を完結させることをおすすめします。
〇おすすめ投資信託1「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」
では具体的にどの投資信託を購入すればよいのか。筆者は多くの投資信託の中から2つをおすすめします。
1つ目は三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」通称「オルカン」と呼ばれているものです。
三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS」シリーズは有名な投資信託です。ただ有名なだけでなく、運用資金の大きさ、信託報酬の安さも申し分なく、また当然ノーロードで購入手数料は0円です。
「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は文字通り日本や米国、中国やインドなど全世界の株式を投資対象としています。そのため世界経済の成長とともに投資信託の運用益も増えていくことが期待されます。
2024年に逝去された経済評論家で資産運用の分野で多くの本を出版された山崎元さんも、全世界株式投資信託をお勧めしていました。
ちなみに似たような商品として、SBIグローバルアセットマネジメントの「SBI・全世界株式インデックス・ファンド」や楽天証券限定の「楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド」がありますが、どれを選んでも構いません。運用規模はこの2つもある程度はありますので、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」よりも手数料が低いという理由で購入を考えるのも十分ありです。
〇おすすめ投資信託2「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」
2つ目は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」です。こちらも三菱UFJアセットマネジメントが運用するものになります。
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は、米国のトップ企業500社に投資をするものです。直近の10年の米国経済の成長は著しく、また先進国にも関わらず人口が増え続ける予測が出ていること、2050年までもGDP(経済の強さの指標)が世界2位までにとどまると予想されることから、今後も米国が成長すると考えるのならばこちらに投資しても良いでしょう。
伝説の投資家にウォーレン・バフェットという方がいらっしゃいますが、その方も、「自分が死んだら資産の9割を米国のS&P500で運用するように」と発言しています。
ちなみにこちらもSBIグローバルアセットマネジメントから「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」が、楽天証券限定では「楽天・S&P500インデックス・ファンド」が販売されていますが、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」も含めた3つの中ならどれも投資対象は同じなので、人気度や運用資産規模、手数料などお好みで決めていただければと思います。
ちなみに筆者は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」で運用しており、S&P500に連動する投資信託は購入していません。理由は2つです。
〇なぜ米国一辺倒の投資信託を購入しないのか
① S&P500の成長はGAFAMと呼ばれる5社がほとんどを担っていたから
S&P500からGAFAMの5社を除いたS&P495のパフォーマンスを見ると、日本のTOPIXという指数と大差が無かったというデータが存在します。
日本の経済成長があまり芳しくないことは多くの方がご存じでしょう。GAFAMが今後も成長を続けるか、GAFAMに代わる巨大企業が米国で誕生するのならばS&P500でもよいかと思いますが、個人的にはGAFAMが今までのペースで成長するのは厳しいと思うことと、米国から代わりの企業が出てくるかは分からないことから米国のみに資金を預けるのは敬遠してしまいます。
② 米国の大企業自身が今後の米国株の成長に悲観的だから
米国のファンド会社のバンガード社は、今後10年の米国株のリターンは米国を除く世界株式のリターンを下回るとしています。またジェレミー・シーゲル氏やレイ・ダリオ氏のような専門家も、今後の米国の衰退を示唆しています。
直近の年では米国株S&P500のパフォーマンスが全世界株式を上回っていたことは事実ですので、過去の事例を重視して「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」に投資するのも良いと思います。
ただ「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」ならば世界の経済成長をまるまる取り入れることができるので、個人的には全世界株式の方が安全かなと思っています。
余談ですが、全世界株式の投資信託も半分は米国株で運用されています。米国株が凋落した場合は比率が下がるでしょうが、直近では全世界株式もS&Pも、言うほど大差は無いのです。どちらでもよいと言った理由はここにあります。
〇NISA枠で「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を購入した場合の金額シミュレーション
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