講演や会議に最適。オードリー・タンさんが愛用しているライブ投稿ツール「Slido」
こんにちは。今日はオードリー・タンさんが愛用しているライブ投稿ツール「Slido」についてご紹介します。
講演や会議などで、「参加者側からの意見がどんどん出るようになる!」と台湾ではとても好評ですし、このツールを好んで使うということにオードリーさんのインターネットに対する考え方がよく表れていると思うので、ご興味ある方はお付き合いください。
まず、ちょっと前置きを。
インターネットの特性「3つのF」
オードリー・タンさんがインターネットの特性について講演する時によく使う「3つのF」というものがあります。
「3つのF」とは「Fast(速さ)」 「Fair(公平さ)」 「Fun(楽しさ)」のことで、
「Fast(速さ)」
インターネット上で拡散される速さ。または情報が伝わる速度にタイムラグがほとんどないこと
「Fair(公平さ)」
大量に集められ、評価に多様性を帯びること
「Fun(楽しさ)」
「それは一理あるな」と思われる評価だけが参考にされること
という形で紹介されています。
インターネットの特性を上手に活かした、ライブ投票サービス「Slido」
そんな「3つのF」をとても上手に活かしているのが、今回ご紹介するライブ投票サービス「Slido」です(無料で使用可、機能追加による課金あり)。
イベントや会議などでインタラクティブに質疑応答をしたり、ライブ投票ができるクラウドサービス「Slido(スライド)」。
拙著『オードリー・タンの思考』でも「オードリーが実際に使っているツール(P285)」というカテゴリで、その概要だけご紹介しました。
リアルタイムで質問や投票ができるので、オードリーさんは講演会などでよく活用されていらっしゃいますし、少人数の勉強会や討論会などにも適しているんだよ、と教えてくれました。
台湾華語(台湾で使われている中国語)版は、なんとオードリーさんがのローカライズ翻訳されているんですよ。
オードリーさんが使っていることで、台湾でもじわじわと普及していっております。
日本にも進出していた「Slido」
以前は日本語版がなかったので、今回使い方を翻訳しようと思ったのですが、なんと日本にも進出されていました!
(しかもCisco Systemsの傘下になっていました)
使い方のチュートリアル動画はこちら
「Slido」の良さをざっくり解説
ざっくり言うと、誰でも簡単にライブ投票ができるというサービスです。
細かな使い方は割愛しますが、それを使うメリットについて触れてみます。
1.「声の小さい人」でも意見を言いやすい
講義や会議で「質疑応答タイム」が始まっても、意見を言いづらかったり、手を上げにくい雰囲気ってありますよね。
目立ちたがり屋の人が、ちょっと奇抜な質問をして時間を費やすといった状況もあったりするのではないでしょうか。
ですがこの「Slido」というサービスなら、声の小さい人でも、手を上げなくてもテキストやクリック&タップで意見を投稿できるため、普段よりずっと意見が集まるという結果が出ているそうです。
2.「3つのF」ーー「Fast(速さ)」 「Fair(公平さ)」 「Fun(楽しさ)」を実現している
ライブ投票サービスなので、投票結果が即時に分かります。
そしてオープンな場で皆が同じ情報を見ることができ、意見に対して「いいね!」を押されることで、公平に評価されます。
しかも、「いいね!」が多いものから上に表示されるので、「それは一理あるな」と思われる評価だけが日の目を見るといった状況を作り出すことができます。
3.違う場所にいる人も参加できる
言うまでもないことかもしれませんが、インターネットサービスなので、リモートで参加されている方もこの質疑応答や投票に参加することができます。よりインクルーシブですね。
オードリーさんも「Slido」のそんなところが気に入っているそうで、講演に招かれると、時折、講演のすべての時間をこの「Slido」を使って質疑応答に費やすようなこともされています。確かにオードリーさんの講演は映像がアーカイブでインターネット上に公開されていますし、違う場所で何度も同じ講演内容を話すよりも、その講演に参加した人にしか体験できない価値が提供できるので、スマートですよね。
「インターネット上のコメント欄の設計も、大切な政治の一つ」
最後に、ちょっと個人的な話をさせてください。
私は、『まだ誰も見たことのない「未来」の話をしよう』という本の取材をしていた頃、インターネット上での分断にちょっと心を悩ませていたことがあります。
それは、台湾に関する大きな関心事について、ネットニュースやTwitterなどで多くの人々が意見を戦わせていたのですが、極端な意見を言ったり、相手を批判する人ばかりが露出が高まり、人々の目に留まりやすくなるため、皆がそうした意見に傾いていくのを見ていると、自分にも意見はあるのに、その不毛な戦いには参加したくないと思って何も言えなくなっていました。
書籍の取材にも関わらず、かなり個人的な悩み相談をしてしまったわけですが、オードリーさんの答えに私はとても救われました。
引用します。
この言葉に、私はとても救われました。
人と人が対立しているのを目にするのはとてもつらいと感じていましたが、オードリーさんはそれは設計の問題で、人に問題があるわけではないと言ってくれたのです。
人やインターネットを信じ続けるオードリーさんの姿勢や物事の考え方に触れると、私はとても救われるような気持ちになります。
そしてそこで得た学びを、こうした場でシェアしていけたらと思っています。
このことについて話したVoicyもありますので、よろしければ。