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ヨシタケシンスケ「みえるとかみえないとか」

ヨシタケシンスケの読書その5「みえるとかみえないとか」(アリス館)。
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 僕は宇宙飛行士。ある星に降り立ったら、宇宙人(形状は火星人っぽい)には目が3つあった。しかも1つは後ろ向き。「それじゃあ(自分の)背中が見えないじゃない」「後ろが見えないのに歩けるなんてすごい」「とっても不便じゃない?」と、僕はひたすら宇宙人たちに同情されて困惑。たしかにゴルゴ13だって、背中に目があるわけじゃないから、後ろから襲われたら対処のしようがないだろう。目の3つある宇宙人にも、目の見えない人はいた。これをきっかけに目の見えない人の五感を訊いてみたら、自分のふだんの世界とはまったく違った。もちろん階段の段差を覚えていなければいけないなどの不便はあるけれど、その分聴覚が研ぎ澄まされたりしている。
 宇宙飛行という設定の下に、さりげなく身体障害のある人の立場に立っている。その眼差しは同情ではなく、個々の置かれた状況によって育まれた能力や感性を尊重している。もちろんこれは肌の色や性別の違いなど、ありとあらゆる身体的特徴それぞれに、揺るぎない個性があることを表現している。キヨタケシンスケは、読む人に、常識だけに囚われて生きることから解放される自由になることを勧める。図書館員だったムカデヤマさんの推薦する、まさに絵本界の尾崎豊である。しかし2歳児には少々難解だった模様。


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