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あゝ、広島CARPの歴史的失速

自分は小学生時代からの広島CARPファンである。安仁屋、外木場時代から応援している。この頃は3年連続最下位とか不振だった。おまけにスポンサーのマツダが経営不振で、球団にお金がなく、広島市民が樽募金などしていた。その市民運動に心をほだされてファンとなった。広島が強くなったのは、1975年にジョー・ルーツ監督が就任して、山本浩二や衣笠祥雄の赤ヘル打線が爆発してからである。そして自分は広島ファンと同じくらいアンチ巨人である。当時は川上哲治監督が率いるV9時代だった。ONを主軸として、柴田、土井、末次などのチビッコトリオが活躍していた。球界トップの金満集団で、親会社の社主であるナベツネの強権的イメージもあって、自分にとって忌むべき権威の象徴であった。一方で阪神タイガースのお膝元である西宮市に住んでいたので、阪神ファンも多かった。そんな地元でも、全国区人気の巨人ファンと半々で拮抗しているくらいだった。阪急ブレーブスも地元だったが、ファンは親が阪急に勤めているとか、全体では5%もいなかった不人気球団だった。

往年の名選手
上段向かって左から安仁屋宗八、外古場義郎
下段向かって左から衣笠祥雄、山本浩二


 思い出話しはさておき、大混戦となった今年のセ・リーグの全日程が終了した。広島が9月に失速して、巨人が優勝するという最悪のパターン。それどころかクライマックスシリーズの出場も逃す事態に。また9月28日には、本拠地マツダスタジアムで巨人軍の優勝胴上げという屈辱まで味わった。これを世間では「歴史的失速」と呼ぶ。8月までは2位巨人に3ゲーム差をつけて首位だった広島CARP。そこまでは森下、床田、大瀬良、九里の先発4本柱が防御率1点台で、中継ぎに島内や黒原、抑えに栗林と盤石の投手陣だった。まったく打てない打撃陣にもかかわらず、1対0や2対1で勝つ試合の連続だった。今年のNPBは投高打低の傾向が顕著だったが、広島CARPはその最たるチームだった。結局のところ大瀬良の最優秀防御率も、栗林の最多セーブのタイトルも、終盤の総乱調でブッ飛んだ。丸佳浩と西川龍馬がFA転出し、鈴木誠也がMLBに渡米した後、秋山翔吾が入団するという奇跡があったものの、打撃陣は主軸を欠いた。これも金のない球団の宿命であろうか。しかし日本ハムは万波中正を育てたりしているので、それは単なる言い訳か。

カープ投手陣
上段向かって左から森下暢仁、床田寛樹
下段向かって左から大瀬良大地、九里亜蓮
天王山の巨人戦で大炎上した栗林良吏


 いずれにせよ9月に入って5勝20敗の大失速。打てないのはそのままで、それまでずっと好投していた投手陣が信じられないくらいに投壊した。あまりのショックでNPBを観るのを、途中からやめてしまった。悪夢の発端は9月11日のマツダスタジアムにおける首位攻防・巨人戦の9回に2点リードしていたのに、栗林が打ち込まれて9点を取られた試合。そこから流れが変わって、先発陣まで打ち込まれるようになった。野球は投手次第で8〜9割決まると言われる。しかし広島CARPの場合には、投手に負担がかかり過ぎていたのかもしれない。相手チームを0点に抑え込めば負けることはないけれど、1点も取らなければ勝つことはできない。それどころか投手が完全試合を続けていても、延長戦にもつれ込んで試合を終わることすらできない。今の広島CARP打線では、野間峻祥、坂倉将吾、末包昇大、坂倉将吾たちが期待の星。今季は投手陣に重荷を背負わせたけれど、来季は背中の荷物を等分に担って欲しい。投手陣にも玉村、アドゥワが台頭してきた。新井浩貴監督は名将だと思う。あの資金と戦力で、よくぞここまでの戦績を挙げていると思う。本来であれば最下位当確で、野球評論家たちはいつも広島CARPを最下位候補に挙げている。たらればだが今年は8月でレギュラーシーズンが終われば優勝だった。幸いにして、選手から信望厚い新井貴浩監督が来季も指揮を続投するそうだ。もう一踏ん張りできるように、チームを育てて仕上げて頂きたい。

期待の打撃陣
上段向かって左から末包昇大、野間峻祥
下段向かって左から矢野雅也、坂倉将吾
悩める新井貴浩監督

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