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ヨハネ伝第20章24〜29節「長所と短所は紙一重」
4月14日の尾久キリスト教会における広瀬邦彦先生の説教。題材はヨハネ伝第20章24〜29節「長所と短所は紙一重」。
使徒トマスはイエスが復活して弟子たちと再会した際に一人だけ不在だった。主の復活を語る弟子たちに「死者の復活などあり得ない」と反駁。しかしイエスは再び姿を現して、トマスに復活を知らせる。
人は十人十色である。そして長所と短所は紙一重で、良いところもあれば、悪いところもある。せっかちな人は決断が早く、頑固な人は信念があり、面倒くさがりな人は合理的で、優柔不断な人は慎重で、協調性のない人は主体性に富み、飽きっぽい人は好奇心が旺盛。そういう意味でトマスは疑り深い人だった。良く言えば、適当に話しを合わすタイプではなかった。ただ本音は主の復活を望んでいただろう。トマスはイエスの磔刑の際に「共に死のう」と弟子たちに呼びかけていたくらいだから。
ある精神科医によれば「脳はスッキリわかりたい」とのことだった。それによれば人間は人生の難題を前にすると、安易な解決や結論を求めがちになる。従って人は宙ぶらりんの状態に耐える必要が生じる。これをネガティヴ・ケイパビリティ(答えの出ない事態に耐える能力)と言う。日本キリスト教団の山岡善郎牧師は、説教に「トマス一人のために」と題した。実に素敵な説教題である。つまりイエスはトマスのためだけに再来したのである。このことは、われわれ一人一人のために主が共にいて下さることを意味する。この後でトマスは自らの信ずる道を極めて、インドにまで布教に赴く。
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