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豊昇龍が第74代横綱に昇進
豊昇龍が第74代横綱に昇進した。照ノ富士が引退した直後なので、まことにめでたい。本場所を観覧して、横綱土俵入りが見られないのは、画竜点睛を欠く趣きとなる。先ずは豊昇龍、続いて琴櫻や大の里も続いて欲しい。豊昇龍は雲龍型だと思うので、二所ノ関一門の不知火型が楽しみである。
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一方で直近3場所の成績が33勝であることから、昇進基準の甘さを指摘する声も多い。特に秋場所は8勝だっただけに『好調は2場所だけ』という危惧は拭えない。「この成績で昇進できたなら、小錦、魁皇、貴景勝はなぜ昇進を見送られたのだ」という疑問も噴出。あと最高勝利が14勝に達したことがないことも不安要素。そもそも横綱昇進は、優勝経験のない北尾(双羽黒)を上げておいて、部屋とのトラブルで廃業して以来、基準が厳しくなっていた。今回は横綱空位に伴う、大甘査定との誹りを受けかねない。
しかし豊昇龍は九州場所で琴櫻に優勝争いで敗れてから、明らかに覚醒した。直線的な立ち合いの威力は、場所前の稽古からずっと磨かれていた。初場所で平幕に敗れた3敗も責められる取り口ではなかった。天性のバネで投げ技に頼る癖があったが、その弱点はハッキリ克服した。鋭い立ち合いの出足に、崩し技の投げが加わって寄り切る盤石の相撲。時折り見せる「吊り」の威力も見惚れるほどだ。
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朝青龍の甥ということで、何か問題を引き起こさないか心配する向きもある。しばしば闘志が礼節を上回って、観ていてヒヤヒヤすることもある。そういう意味でも、昇進には少し早かったが、地位が人を育てることもあるだろう。また叔父の朝青龍は乱暴者ではあったが、愛嬌たっぷりで、稀代の天才力士だった。近年は叔父甥の不仲が伝えられて、あまり公開説教も聞けなくなった。是非とも、また叔父甥の愉快な絡みを楽しませて欲しい。