超愛漫画家 成田アキラ自伝
成田アキラ「超愛漫画家・成田アキラ自伝」(徳間書店)。電子書籍版はこちら↓
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成田アキラはテレクラ漫画家として一世を風靡した漫画家である。テレクラ狂いしながら、自らの体験を漫画に描くことで生業を得た。自らをスケベー、ヘンタイと呼んで憚らない。女性を抱くために徹底的に生産性を追求し、それでいて奉仕の精神に満ちている。何より得難いのは明朗なこと。だからこそ千人以上もの女性がついてくるのだろう(羨ましい)。電車の中で読んでいて、あまりの徹底した人生に思わず爆笑。猿の前で抱かれたいというマゾヒズムを持った女性の要望に応えて、野生の猿にピーナッツを撒いて誘き寄せる努力。ネトラレ願望の先駆けとして、夫婦和合の協力体制。挙げ句の果てに、変わり者夫婦としてテレビ番組にまで登場している。ここまで亭主の性癖と仕事を面白がっての夫唱婦随。夫婦は似た者どうしというが、まさにドンピシャな奥さまに感嘆。亭主は、果てはスカトロにラビアソーイングまで極めるところまで極めてしまう(ここは凡人の自分には多少ついていけない)。
支離滅裂なようでいながら、著者はインテリなのである。デビュー作のタイトル「チボー星のやつら」は「チボー家の人々」のパロディだし、講談社「まんがなぞなぞふしぎシリーズ」で相対性理論を解説する本を出しているし、手塚治虫先生の下で「ブッダ」の背景も手伝っている。だから晩年には「非風揺葉理論」を打ち立て、森羅万象は「色即是空」と説く。独自解釈で川端康成のエロチシズムを明らかにするあたり、やはり並の才ではない。考えに考え、悩みに悩んだ末に辿り着いたたスケベー道なのである。実はこの本は「全裸漫画家」という仮題だったが変更になった。編集者に尋ねたら「あまりにパクリだから」との返事だったが、パクリでもその方が乗りが良くて面白かった気がする。何より巻末に著者と村西トオル全裸監督との対談もあるし😇。